唐津を舞台に、戦時下の青春群像を描いた映画「花筐」。地元先行上映には、監督を務めた大林宣彦さん(79)が駆け付け、作品に込めた思いを語りました。

 「青春がなかった世代の無念な思いを、未来の私たちの子どもや孫にはさせたくない」

 がんで余命宣告を受けながら敢行した撮影。文字通り命懸けで手がけた仕事に改めて感じ入ります。

 活躍に心が奪われたのは、消防から感謝状を受けた神埼市千代田町の元看護師志岐テルさん(84)。利用しているデイサービス先で、食べ物をのどに詰まらせて意識を失った70代の女性を応急措置で救いました。

 「1秒でも早く。ただそれだけを意識して、当たり前の事をしただけ。こんな表彰をしてもらうとは思ってなかった」

 人知れず誰かを救ったり、誰かに救われたり。この一年、こうしてつないだ命は少なくないのでしょう。

       *

 国策絡みの課題は、年の瀬も関係ありません。諫早湾干拓の堤防排水門からの大量排水を巡り、佐賀県西南部のノリ漁師ら約100人が養殖ノリの色落ち被害が出ていると訴え、海上デモを決行しました。秋芽ノリが前年の半分以下だったという七浦地区の松本拓矢さん(31)は憤ります。

 「家族のため気力を奮い立たせているが、不安で先が思いやられる」

 佐賀空港への自衛隊輸送機オスプレイ配備計画を巡っては、山口祥義知事と秀島敏行佐賀市長が会談。計画に慎重な姿勢を見せている市長は、空港建設時に県と漁協が結んだ自衛隊との共用を否定する協定の尊重を改めて求めました。

 「約束事は重い。無視して変えていいのなら行政の約束は信用されない」

       *

 天皇陛下の退位日が決まり、平成は再来年の4月末で幕を下ろすことに。平成元年に社会人になった東松浦郡玄海町の団体職員青木一里さん(46)は陛下の歩みに思いを寄せつつ、新時代への期待を込めます。

 「昭和天皇が崩御された時は新元号をお祝いする雰囲気はなかった。今回は心構えができ、陛下もご健在なので明るく迎えられると思う」

 来年は明治に元号が改まって150年。伊万里市山代町の楠久・津まちづくり実行委員会は、幕末期の歴史遺産を生かした町おこしを考えるシンポで活動方針を確認し合います。

 「この地域には明治の近代化を支えた佐賀藩の歴史遺産が数多く眠っている。そのことを誇りに思い、積極的に情報発信をしよう」

 節目の年、県内のあちこちで、足元を見つめ直す動きが広がりをみせてほしいものです。(年齢、肩書は掲載当時)

=おわり=

このエントリーをはてなブックマークに追加