核ごみ動員問題の報告書ポイント

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分を巡る住民意見交換会に謝礼を持ち掛けて学生を動員していた問題で、原子力発電環境整備機構は27日、現金授受の有無などの調査結果を公表した。機構が開いた過去のセミナーなどで新たに少なくとも計79人に動員の疑いがあることが判明し、このうち学生2人に1人当たり現金5千円を支払っていた。

 79人のうち現金や便益を確認できていない学生らについても「何らかの見返りがあったと推測される」と指摘した。

 機構は11月、現金のやりとりはなかったとしていたが、過去の会合で現金の授受が確認された。機構が広告会社を通じて広報活動を委託した孫請けのマーケティング企画会社は、遅くとも2016年7月から謝礼を約束して学生を動員していたことも分かった。金銭に頼った不適切な運営の実態が浮かび上がった。

 機構の近藤駿介理事長は27日記者会見し「国民の信頼を損ね深くおわびする」と謝罪し、理事長の報酬削減などの処分を発表した。意見交換会は当面中断し、新たな運営方法を検討した上で再開時期を決める。

 弁護士らでつくる調査チームが孫請け会社の提出した資料を調べ、14年5月~17年11月の意見交換会やセミナーの参加者にアンケートをした。計79人のうち実際に参加した人数は確定できなかった。学生サークルなど5団体にパンフレットの印刷などの便益を提供していた。発言の誘導は認められないとした。

 意見交換会には一般参加者と見分けが付かない形で、電力会社の社員が参加。機構の職員は東京電力関係者に「ご出席、または周知をお願いします」とのメールを送っていた。報告書は「動員を要請したと判断してもやむを得ない表現があった」と指摘。動員の意図はなく、意見を誘導したこともなかったと主張した。

 機構はこれまで、孫請けのマーケティング企画会社「オーシャナイズ」(東京)が今年10~11月の意見交換会で、5都府県で学生ら計39人に1万円などの謝礼を約束して動員していたと説明。世耕弘成経済産業相は事実関係の解明が不十分だとして再調査を指示していた。

 報告書は、オーシャナイズと業務提携関係にあり、大阪市に本拠を置く企画会社「ビーウェル」も動員に関わっていたと指摘した。【共同】

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