佐賀県の中小企業への貸付金や県営住宅家賃の滞納などによる債権のうち、県税以外の未回収の総額が28億円を超えている。多額の債権に対して少額返済が続いているケースや、回収が困難でも制度上簡単に債権放棄できないことなどが要因。県は適正管理に向け、一定額以下の債権を知事の権限で放棄することを盛り込んだ債権管理条例を制定する方針を固め、2月県議会への提案を検討している。

 

 県税以外の未収額は2016年度末で28億1800万円。半数近くは10年以上経過し、1962年に貸し付けた分もあるという。このうちショッピングモールなどの経営基盤強化を支援する中小企業高度化資金が最も多く13億700万円に上り、延滞先11件のうち9件は破産や解散、廃業になっている。このほか、母子家庭などの生活安定を図る母子父子寡婦福祉資金2億2600万円、県営住宅の家賃と弁償金が計2億500万円と多い。

 これらの債権は回収が困難な場合でも、金額に関係なく議会の議決がなければ放棄できない。長期間延滞して時効の期限が経過した場合、借り手は時効制度の利用手続き(援用)をする必要があるが、死亡して意思確認ができなかったり、相続者がいても債権の存在を知らなかったりするケースもある。少額での返済を長期間続けている人もいて、累積額が膨らんでいる。

 未収金の縮減について県財政課は「再三の督促や現場確認などで回収の努力を続けているが、現実的には非常に難しい案件もある」と説明する。回収可能な債権管理に注力するマンパワーが分散されることで、業務効率も悪化していることなどから、条例で回収や放棄に関し定める必要があると判断した。

 条例案は、管理の方法や時効など、債権によって異なる複雑な手続きを網羅的に整理し、回収業務を明確化する。一方で回収の見込みがない債権は、議会の議決を求める基準を明文化し、一定額以下は時効の手続きがなくても知事の判断で放棄できるよう調整している。同様の条例は9都府県が制定、高知県は500万円以下を知事判断の対象にしている。

 県財政課は「不公平感が出ないように、放棄だけでなく回収も含めて全庁を挙げて取り組んでいく」と説明している。

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