佐賀県内の交通事故発生状況を示す電光掲示板=佐賀市の県警本部

 昨年まで5年連続で人口10万人当たりの人身事故発生件数が全国ワーストの佐賀県。今年も12月25日現在、2番目に多い静岡県を2件上回る805件(概数、暫定値)となっている。今年も残すところ今日を含めてあと4日。一つでも事故を減らしたい。

 県警によると、今年の人身事故件数は約6600件で、昨年より約900件減っている。10万人当たりの件数も、3年ほど前までの年間1千件前後から徐々に減ってはいるのだが、全国的にも減少しているため、相対的に順位は変わっていない。

 県内で事故が減っているのは、全国最悪の汚名を返上すべく、県警による日々の取り締まり強化や指導、啓発活動はもちろん、県も2年前から予算をつけてワースト脱却に向けた緊急プロジェクトに取り組んでおり、これらが成果を上げていることの表れだろう。

 ただ、全国的にも事故は減っており、ワーストを返上するには一層の対策が求められる。広報や教育、啓発活動をさらに推し進めるのはもちろんのこと、佐賀の交通事情に合ったインフラ整備や補助のあり方など、対策に総合的な“厚み”を持たせたい。

 現状を分析すると、佐賀の特徴は追突事故の多さにある。先ほど示した人身事故件数6600件のうち、追突事故は45%に上る。全国平均を10ポイント上回っており、追突事故の多さはワースト期間中、変わらない傾向だ。

 佐賀国道事務所は昨年、幹線道路である国道34号の15交差点で、直進と右折のレーンを色分けして舗装し、車をスムーズに誘導する対策を取り入れた。急ブレーキや急ハンドルによる追突事故を防ぐ狙いがある。導入から1年がたっており、カラー化による効果の検証も進んでいると思われる。成果が出ていれば34号以外にも適用を広げてほしい。

 最近は追突回避や衝突した場合でも被害を軽減する自動ブレーキを搭載した車が増えている。高齢化率が50%近い東京都檜原村は本年度から、70歳以上の村民を対象に、自動ブレーキ搭載車を購入する場合、費用の3分の1、上限50万円を助成している。高齢ドライバーの事故が目立つ昨今、佐賀でもぜひ導入を検討してほしい施策の一つだ。

 また、県は11月まで、県内の事故多発箇所や事故の危険がある場所を県民から募る企画を実施していた。データを集めることは実に有意であり、危険箇所はウェブサイトで公開するなどして共有してほしい。

 朝に「行ってきます」と家を出て、元気に帰ってくる平常こそ、何物にも代えがたい幸せである。気ぜわしい年末だからこそ、気を引き締めてハンドルを握りたい。(森本貴彦)

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