山口祥義知事との会談後、公害防止協定書の写しを見せて「約束事が優先する」と強調する秀島敏行佐賀市長=佐賀市役所

 佐賀空港への自衛隊輸送機オスプレイ配備計画を巡り、公害防止協定の認識について山口祥義知事が佐賀市や地元漁協を相次いで訪問した25日、「県は自衛隊と共用する考えはない」とする協定覚書付属資料を重視する佐賀市、漁協の姿勢が鮮明になった。山口知事は「漁業者を大事にするということは一致している」とし、従来通り防衛省の要請に関し検討を続ける考えを示した。

 「『趣旨に反する要請はしないでください』という願いが込められている」。市役所で知事と約30分の会談を終えた秀島市長。記者団に、県と県有明海漁協が結ぶ協定の付属資料に「県は自衛隊と共用する考えはない」と明記されている経緯を繰り返し強調した。

 秀島市長は、協定は当時の漁業者が協議を積み重ねた集大成と受け止めており、「前に進むならあの文言は邪魔になる」と指摘。「『(自衛隊との共用は)しない、させない、あり得ない』が常識的に共有されていたと聞いた」と協定に込められた漁業者の「思い」を表現した。「そういう思いを汚すようなことはしてはならない」。語気を強め、協定の立会人としての責任感をにじませた。

 解釈の一致は確認できたかと問われ、秀島市長は「漁業者への思いは一致した」と言葉を選んだ。「思いは一致していても、やることは違うかも分からない」とも述べ、県と市で、防衛省の要請に対する受け止め方に違いがあることを示唆した。

 協定の当事者である県有明海漁協。徳永重昭組合長は「付属資料まで含めてわれわれは協定書だと思っている」と知事に伝えた。「自衛隊とは共用しない」という一文に関しては、漁業者も漁協も「単純にそのまま受け取っていると思う」。配備計画に対し、漁業者の間で反対意見が多いことも改めて説明した。

 一連の会談後、山口知事は神妙な面持ちで記者団の取材に応じた。「協定を結んだ経緯、思いをしっかり受け止めてほしいという話。全くその通りだ」。市長の真意をかみしめた。

 自衛隊共用を否定した一文を重視する市と漁協。山口知事は「(協定を結んだ当時は)国から要請があることは考えていなかったんだろうね、という感じだった」と述べ、「当時の皆さんのことを重く考えることは、大事だという認識を持った」と会談を振り返った。

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