配送の間違い防止と効率化のため区域を色分けするなど工夫している井手薫さん。この作業に1カ月半掛かったという=伊万里市大坪町の栄町ふれあい館「支温の家」

武雄市の女性から電動自転車が寄贈され、配達が楽になった=伊万里市大坪町

 伊万里市大坪町の住民グループ「栄町地域づくり会」が、宅配便の業務代行を始めて3カ月がたつ。高齢者の就労と宅配業者の負担軽減につながる注目の取り組みは定着するのか-。井手薫会長(78)は「人員の確保など課題はあるが、ほかの地域にも適用できるモデルケースになり得る」と手応えをつかんでいる。

 同会は佐川急便と業務受託契約を結び、地域内約800世帯を担当する。地域の交流施設「栄町ふれあい館」に午前9時半と午後3時半の2回、佐川のトラックが来て荷物を下ろすと、その日の配達担当者が仕分けして自転車の荷台に積み、各家を回る。多い時で1日30個の荷物を扱う。

 配達用の自転車は9月25日の事業開始から1カ月後、電動にグレードアップした。この取り組みが新聞やテレビで全国に紹介されると「お年寄りで大丈夫か」といった心配の声が数多く寄せられ、武雄市の女性からは使わなくなった電動自転車を譲りたいと申し出があった。配達エリアは坂道が多く、担当者の柴原信喜さん(83)は「かなり楽になった」。

 体制も拡充され、当初は柴原さん1人で週2日配達していたのが、12月からは3人が週2、3日ずつ担当して毎日配るようになった。ただ、今はぎりぎりの人数で回しているため、先日は全員が風邪などで体調を崩し、やむなく休んだ。

 「人員の確保が一番の課題」と井手さん。配達者の増員を図ってこれまで十数人に依頼したが、健康問題や家庭の事情を理由に断られている。

 ネックとなっているのは拘束時間の長さだという。ここでも配達先の不在が多いという業界共通の悩みを抱えており、一つの荷物に半日煩わされることもある。さらに午後6時以降は安全のため配達を禁止しており、たくさんの荷物を配りきれずに佐川に返品するケースも多々ある。返品した荷物に「1個100円」の報酬は支給されない。

 「慣れれば要領よく配れるようになるし、工夫次第で拘束時間をもっと短くできる。そうなれば、人も増えてうまく転がり出しますよ」と井手さん。「地域の人に生きがいを感じてもらうことが私の喜び」というアイデアマンが楽しそうに頭をひねっている。

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