お盆の帰省に合わせた就職面談会。県内企業が働きやすさや福利厚生をアピールした=8月、佐賀市のホテルマリターレ創世

 「時給1500円」。年末年始の短期アルバイトを募集する競合店の折り込み広告を見て、佐賀市にある食品スーパーの採用担当者はため息をついた。「いったい、どこまで上がるのか」。同店は今夏、850円だった短期アルバイト・パートの時給を千円に引き上げた。「今年は何とか人手を確保できたけど…」。人件費のさらなる上昇に不安が募る。

 労働人口の減少や景気回復で人手が一段と不足し、佐賀県では9月、有効求人倍率が過去最高の1・29倍を記録した。賃金を上げても十分に人が集まらない外食や小売店などでは、営業時間の短縮や休業に踏み切る動きが広がった。

 深刻な人手不足を背景に企業の採用意欲は高く、就職活動は大学生や高校生に有利な「売り手市場」が続く。学生の大企業志向も顕著で、大手を含む2社から内定を受けたという佐賀大経済学部4年の男子学生(22)は「思ったより就活は大変ではなかった」。淡々と振り返った。

 就職情報サイト運営リクルートキャリアの調査によると、企業の内定を得た2018年春卒業予定の大学生のうち、辞退を申し出た割合を示す「内定辞退率」は10月時点で64・6%。この男子学生も、中小企業1社の内定を断った。

 「見通しが甘かった」。小城市にあるシステム開発会社の担当者は肩を落とす。来春の内定者は中途採用者を含め3人。計画の半分にとどまった。大学生や専門学校生に加え、今年は高校生にも枠を広げたが、応募は1人もなかった。

 頼みの綱の派遣社員も確保が難しくなっており、「取引先からの仕事は増えているのに、選別せざるを得ない」。業績拡大のチャンスをみすみす逃している現状を憂う。

 従業員120人。余裕が十分にあるとは言えないが、月2回の「ノー残業デー」に加え、新たに完全週休2日制の導入に向けた検討を始めた。

 「個人の事情に合わせた多様な働き方を認める会社にならなければ、若い人は振り向いてくれない」。手探りの対応が続く。(大田浩司)

 

 ■過去最高の有効求人倍率

 佐賀県の有効求人倍率は2017年7月から3カ月連続で過去最高を更新、9月に1・29倍を記録した。有効求職者数は16年1月から22カ月連続の前年割れとなっており、バブル期と異なり、少子化の影響が色濃く出ている。

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