新美達也さん

■相互理解へ欠かせぬ交流

 佐賀大国際交流推進センター 准教授 新美達也さん(49)

 ◆定住外国人が増えて存在が身近になる一方で、激しい言葉で特定の人種や宗教への憎しみを表現するヘイトスピーチが全国で目立つようになり、今年5月には対策法が成立した。

 日常生活で外国人と接する機会が増えたことと、差別的な事案の増加とは無関係とは言えないだろう。

 国内の労働人口の減少に伴い、外国人の単純労働者は急激に増加している。語学留学のアルバイトや技能実習生は、単純労働を任されるケースが多い。以前は都市部に集中していたが、近年は地方でも顕著だ。中小企業が積極的に技能実習生を受け入れているが、地域住民は受け入れの素地があるわけではなく、付き合い方を心得ているわけでもない。その距離感が、直接的な差別行動につながらないまでも、差別行為を見過ごすといった状況になっているかもしれない。

 外国人労働者の存在は「仕事が奪われる」という危機感を若者に与えている側面もあるだろう。ドイツや米国の移民問題と異なり、直接的に職を失う事態は考えにくいのに、悪いイメージを抱く人がいる。そうした受け止め方が、日韓や日中間の領土問題など政治的課題への不安感と結びつき、ヘイトデモにもつながったのではないか。

 ◆11月の法改正で技能実習制度に介護分野が加わったが、経済連携協定(EPA)による受け入れと異なり、介護や看護の専門知識はそれほど必要ない。これまで低賃金や長時間労働が指摘されてきた別の分野を含め、実習生を「安い労働力」として使う事例の増加が懸念されている。

 技能実習制度はそもそも国際協力の一つで、日本でさまざまな技能を身に付け、母国の発展に貢献してもらうのが目的。労働力不足を補うものではない。

 実際は出稼ぎが主な目的になっているケースがあり、稼げるのであれば就労分野を問わない実習生も多い。介護分野は専門的な知識や技能が必要だが、実習生の中には日本語さえ不十分な人もいる。大学や短大で資格を取得した日本人と同じ職場で、同じ仕事を課していいのか疑問はある。

 ◆中長期の滞在資格を持つ在留外国人数は6月末現在、230万7388人で過去最多となり、佐賀県内でも4819人が暮らしている。支え合うためには対話が欠かせない。

 ヘイトスピーチなど表面化している事象にとらわれると関係がぎくしゃくしているように映るが、教育機関や企業などはさまざまな交流活動に取り組んでいる。こうした地道な付き合いを契機に、お互いに理解を深めていければと思う。

 異文化交流ではいかに相手を思いやるかが重要になってくる。地域で外国人と接する際、文化や宗教が異なるという当然のことを意識すればいい。相手の言葉や文化を知らなくても、異なる国で暮らし、心細くすごしているかもしれない相手の心情を想像すれば、思いやりにつながるのではないか。コミュニケーションは日本語で十分だ。

このエントリーをはてなブックマークに追加