高病原性鳥インフルエンザウイルス感染が確認され、殺処分作業が進められる養鶏場=2月5日、杵島郡江北町(共同通信社ヘリから)

 冷たい雨が打ち付ける中、ウイルス封じ込めの作業は夜を徹して続けられた。

 2月、杵島郡江北町の養鶏場の鶏から高病原性鳥インフルエンザウイルスが確認された。県内では、2015年1月に西松浦郡有田町で発生して以来2例目。県や町の職員、自衛隊員ら延べ約4500人体制で一連の防疫作業に当たり、国の指針(72時間)内の49時間で埋却を完了した。

 有田町での経験を生かし、現地対策本部の指揮命令系統を明確にするなど初動体制は改善していたが感染予防の取り組みは一筋縄ではいかない。

 鳥インフルエンザは渡り鳥がウイルスを持ち込むと考えられているが、感染ルートは特定されていない。消石灰の散布や小型野生動物の侵入経路の点検、鶏舎に出入りする際の衣服や靴の交換など、養鶏業者の管理体制はここ数年、全国的に徹底が図られている。

 国の疫学調査チームが6月に公表した資料でも江北町の養鶏場の管理に大きな問題点は見られなかった。養鶏場は6月に経営を再開。人の動線を一方通行にし、野鳥の止まり木となる鶏舎周辺の樹木を伐採してコンクリートで覆った。

 「有田の時は『万が一』だったが、『いつでも起こり得る』と農家の認識は変わってきている」と県畜産課。農水省の畜産統計(2月)によると、県内の養鶏業者は採卵30戸、ブロイラーは72戸。約11万羽を飼育する伊万里市の男性は「県内で既に2件起きた。あす、うちで発生するかもしれない」と吐露する。

 男性は、ウイルス感染のリスクを減らすため、冬の時期は極力人混みを避けているという。点在する鶏舎に大量の消毒機材を運べるようフォークリフトをそろえた。江北町での発生後、鶏舎周辺に新たに土地も購入した。いざという時に埋設地にするためだ。

 「何かあってから土地を探していては72時間をクリアできず、大変なことになる。衛生管理は徹底しているが、最悪の事態も想定しないといけない」。殺処分は国から補助が出るが、防止策は自己負担。この冬も“見えない敵”への警戒が続く。

■江北町の鳥インフルエンザ 2月4日午前10時ごろ、町内の肉用養鶏場から「死亡する鶏が増えた」と県に通報があり、遺伝子検査で毒性が強いH5N6亜型のウイルスを確認。約6万9千羽と卵74万個を処分した。周辺地域は鶏や卵の移動、搬出制限をかけ感染拡大を防ぎ、28日に終息した。

このエントリーをはてなブックマークに追加