本格的な景気回復が期待されながら、個人消費に力強さを欠いた2017年。家庭で過ごす内向き志向の消費を色濃く反映し、手軽な総菜や欧米の風習「ハロウィーン」のパーティーグッズが売れた。使用料を抑えた格安スマートフォンが急速に普及。携帯電話大手も値下げに動き、消費者の節約志向を改めて裏付けた。ITの活用が進み、インターネットで資金を募る「クラウドファンディング」の手法を取り入れる動きが拡大。安全装備や自動運転機能を搭載した自動車も続々と登場した。1年を振り返り、佐賀県内でも話題を集めた商品、サービスを紹介する。

 

■クラウドファンディング

ネットで資金調達 融資の芽として地銀注目

クラウドファンディングをまちづくりに活用する協定に署名する金融機関やまちづくり団体の関係者ら=西松浦郡有田町の有田まちづくり公社

 インターネットで不特定多数の人から資金を募るクラウドファンディング(CF)を活用する動きが広がった。調達目的は幅広く、まちづくりや社会問題の解決に加え、製品開発の投資資金にも利用されている。

 世界で2兆円、国内で300億円の調達実績があるといわれるCF。出資者に特典がある購入型、被災地支援の寄付型、株式購入の投資型などがある。中でも購入型は事業内容を詳しく紹介するためニーズや得意客の把握につながり、製品開発と相性が良いとされる。

 専門家や金融機関が昨年4月に設立した「クラウドファンディング活用サポートセンター佐賀」では、外国人向けゲストハウスや子ども食堂の開設、シシリアンライスの盛り上げなど13件の資金調達を支援。担当者は「今後は市場の隙間を狙った県内企業の製品開発を後押ししたい」と話す。

 銀行借り入れ以外の資金調達需要も高まる中、佐賀銀行はCFの運営会社と連携協定を締結。CFが企業の成長を促し、将来の融資先になるとの判断もあるとみられる。

 

 

■格安スマホ

異業種参入、シェア急拡大 利用者に恩恵も

格安スマートフォンが急速に普及。新たに専売店もオープンした=佐賀市のモラージュ佐賀

 携帯電話大手の回線を借りて安い通信サービスを提供する格安スマートフォンが急速に普及、シェアを広げた。NTTコミュニケーションズなどの通信大手やLINE(ライン)、楽天など異業種の参入も相次ぎ、話題を集めた。

 調査会社のMM総研によると、格安スマホの契約数は9月末で約934万件。1年前に比べて1・4倍に増えた。

 3月には、KDDI(au)傘下で格安スマホを展開するUQコミュニケーションズが県内初の専売店をオープン。ソフトバンクグループの低価格ブランド「ワイモバイル」など、先行していた他事業者との競合が過熱した。

 携帯大手は割安な料金プランを打ち出して対抗。高すぎるとの批判もあった料金の引き下げで利用者への恩恵も広がった。

 今月14日には、楽天が大手3社のように基地局を保有し、自前の回線網を持つ携帯電話会社の設立を目指すと発表。大手の寡占状態に風穴をあけられるか、注目が集まる。

 

 

■イベント商戦活発

ハロウィーン、黒字の金曜日… 節約志向、値頃感で打開

ハロウィーンの盛り上がりに期待し、県内各店は品ぞろえに力を入れた=佐賀市のゆめタウン佐賀

 仮装パレードなどで年々盛り上がりを見せているハロウィーン。県内小売店はイベント人気にあやかる形で関連商品を積極展開、値頃感も打ち出して節約志向の消費者を取り込む動きが顕著だった。

 県内に9店舗を展開するスーパーモリナガは、店員が仮装してイベントをアピール。直営の衣料品売り場に仮装衣装コーナーを設置したゆめタウン佐賀(佐賀市)では、人気の映画アニメキャラクターのグッズが販売直後に完売する盛況ぶりだった。

 日本記念日協会(長野県)によると、ハロウィーン関連商品の推計市場規模は約1345億円。この5年間で倍以上となり、約1340億円のバレンタインデーを上回った。

 「楽しめるイベントがあれば売り上げを伸ばせる」(県内小売店)と、各店が力を入れた恵方巻きの販売も好調。11月には米国の年末商戦「ブラック・フライデー(黒字の金曜日)」にちなんだ安売りセールが一斉に展開され、不振が続く衣料品店もにぎわいを見せた。

 

 

■自動車の安全性能

装備充実、高齢化に対応 購入の決め手にも

前方の車との衝突回避支援システムを搭載した「ヴィッツ」=佐賀市のネッツトヨタ佐賀本店

 安全性能を高めた自動車が相次ぎ投入された。ドライバーの高齢化に対応し、メーカー各社は自動ブレーキや誤発進の防止機能などの装備を充実。県内顧客の関心も高く、軽自動車に採用される動きも広がった。

 マツダは車線からはみ出して走ると運転手に警告する機能を全車に搭載。前方の車や人との衝突回避システムを新型車の約7割に採用したトヨタ自動車の県内販売店は「安全装備の充実が車を選ぶ決め手になりつつある」と話す。

 高速道の同一車線での自動運転技術を搭載した車も登場した。日産自動車は第1弾のミニバン「セレナ」に続き、スポーツタイプ多目的車(SUV)の一部モデルに採用。スバルも一部改良したワゴンに搭載した。

 軽自動車では、ホンダが主力車種「N-BOX」の全てで、高級車などに導入している安全システムを標準装備した。

 県警によると、県内の人身事故は12月12日時点で6426件、死者数は35人となっている。

 

 

■総菜人気

食品スーパー、コンビニ 「中食」品ぞろえに注力

売り場を拡充した総菜コーナー。共働き世帯や高齢者の増加により、売り上げが伸びている=佐賀市のアルタ開成店

 共働き家庭や高齢者の増加により、調理の手間が省ける総菜が人気を集めた。節約のため外食を控えて自宅で食べる「中食」需要の高まりも受け、食品スーパーやコンビニエンスストアが揚げ物やサラダの品ぞろえに力を入れた。

 佐賀市内に4店舗を展開するアルタ・ホープグループは2月、開成店の改修に合わせて総菜コーナーを拡充。売り上げは半年間で倍増した。

 担当者は「人手はかかるが、利益率が高く、予想を上回るペースで投資費用を回収できそう」と期待。煮物や揚げ物を購入していた共働きの50代女性は「早く食べられ、適量を購入できる」と話した。

 中食市場に注力するコンビニ各社も総菜売り場を強化。佐賀市内の経営者は「夕食のおかずに揚げ物などを購入する客が増えた」と語る。

 食生活の変化は歳暮商品にも表れた。佐賀市の佐賀玉屋では、電子レンジで温めるだけで弁当のおかずにもなる冷凍の食材が人気を集めた。

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