「遊ぼう」っていうと「遊ぼう」っていう/「馬鹿」っていうと「馬鹿」っていう…そうして、あとで さみしくなって/「ごめんね」っていうと「ごめんね」っていう-◆金子みすゞの詩「こだまでしょうか」は、幼い友情がほほえましいが、母親がわが子に向ける「ごめんね」は切ない。女優の安達祐実さんがトーク番組で語っていた。仕事で一緒に過ごす時間がとれなくても、子どもに「ごめんね」は言わないようにしている、と◆もし謝ってしまえば、子どもは「ママは何か悪いことをしてる」と仕事に対して悪感情を抱くかもしれない。だから「ごめんね」ではなく「次の休みは一緒にいられるから、何をしたいか考えておいてね」と気持ちを引き立てる、という趣旨だった◆今や共働き世帯が半数を占める。しかも、高齢者世帯などを除けば、6割を超える。共働きが当たり前の時代だからか、母親にかかる負担の重さに「ワンオペ育児」という、さみしい言葉が生まれてもいる。ワンオペレーションは、コンビニや牛丼チェーンの1人勤務を指す◆転じて、仕事や家事をこなし、たった1人で子どもを育てる母親を、こう呼ぶそうだ。支え合う社会なら、こんな言葉は生まれまい。押しつぶされそうになりながら、懸命に子どもと向き合う姿が浮かぶ。「ごめんね」をのみ込みながら。(史)

このエントリーをはてなブックマークに追加