上映開始を待つ人々でいっぱいの映画『花筐』の先行上映会場=16日、浜玉町ひれふりランド

 映画『花筐/HANAGATAMI』の地元上映会は、当初予定していた8会場・計18回を終え、約6500人の市民が鑑賞した。大林宣彦監督(79)が40年間温め続け、余命宣告の中で撮影した渾身の作。監督が言う「唐津の里人」はどう受け止めたのか。

 「同世代の監督が地元で撮り、三島由紀夫に影響を与えた檀一雄の原作。話題に事欠かなかった」と浜玉町の岡部利幸さん(78)は封切りを心待ちにしていた。戦時下の青春群像劇。「反戦思想を真っ正面ではなく、唐津の風土を生かして柔らかくファンタジーとして表現していた。子どものころに戦争を体験し、考えなくても気持ちが入ってきた。本当にいい映画だった」と満足げだった。

 単純明快な映画ではない。見た人の心の動揺を読み取り、監督自身が地元試写会の後に「どう捉えればいいのか、戸惑われていると思います」と話していたほど。友人と足を運んだ元石町の森上順子さん(49)は「いろいろあるけどハッピーエンドっていう映画と違い、ストーリーが分かりづらかった。最初で映像に目が行ってしまったところもあって、正直、1回では分からない」。それでも約3時間の長さは苦に感じなかったという。

 肥前町に帰省中に祖父母らと鑑賞した福岡市在住の前田祐希(ゆき)さん(28)は「難しい時代を生きる若者の揺れ動く心を描いていた。映像が面白く、感情の変化で背景が変わるのが独特。白い蛇が繰り返し出るなど伏線がたくさん張られていたけど、それを一度では理解できなかった」と消化不良気味。「説明的ではなく、自分がどう感じるかを楽しむ映画だと思う」と語った。

 「鵜飼(満島真之介)が肉体、吉良(長塚圭史)が精神。この2人が1人の人間に見えた。青春はそのバランス感覚が崩れる。自分もそういう時期があった」と自分なりの解釈を加えてくれたのは、2度鑑賞した唐津工高3年の堤碧士(あおし)さん(18)。これまで250本の映画を見てきて、初の大林作品に「最初から濁流みたいで、話が進んでいくとキャラクターの内面も映像も複雑になっていく。ほかの監督とは文体が違う。一番難しい。全然分からないからまた見たい」。再び巨匠に挑むつもりだ。

 16日からは佐賀市のシアター・シエマなどで全国上映が順次スタートしている。

 唐津市出身で東京在住の金丸大輔さん(41)は東京・有楽町スバル座に。俳優陣の舞台あいさつがあった16日は入れず、後日出直した。「いろんな刺激があり、先に映画を見た妻と息子がとにかく興奮して帰ってきた。自分は戦地に息子を送り出す側で見た。登場人物たちと同じ年齢ぐらいの息子に見せられたのはラッキーだった。ずっと語り継がれる映画になると思う。こちらで唐津以外の人にも勧めたい」

 24~26日に追加の上映会がある。

 

 唐津上映会の追加日程は次の通り。

 【24日】10、14時=相知交流文化センター、10、14時=オーテホール(大手口センタービル3階)

 【25日】10、14時=オーテホール

 【26日】10、14時=オーテホール

 問い合わせは唐津映画製作推進委員会事務局、電話0955(72)3278。

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