重度心身障害者が医療費を医療機関窓口で一定額を払うだけで手続きが済む方式が、佐賀県内の市町で導入が進んでいない。患者が病院に行きやすくなることで医療費の増加を危惧する国が、国民健康保険の国庫負担金を減らす罰則措置を設けているため、市町が二の足を踏んでいる。小学生以下の医療費は全20市町で一定額を払う方式が広がっており、県は重度心身障害者も同様の対応ができるよう、国保の減額措置廃止を国に求めていく。

 重度心身障害者の医療費は、医療機関で年齢に応じて1~3割の自己負担を支払い、一定額を差し引いた分の払い戻しを、市役所などの窓口で手続きする必要がある。佐賀県では、自己負担(1回の受診当たり原則500円)を超える分を、市町と県が2分の1ずつ補助している。この分で払い戻しの申請が生じる。補助総額は2016年度、16億1900万円だった。

 医療機関の窓口で一定額を支払う方式は「現物給付方式」と呼ばれる。立て替えがなく、行政への払い戻し手続きは不要。県が10月、20市町に実施したアンケートでは、6市町が「負担が増えても現物給付にすべき」、9市町が「国保の減額が廃止されれば、現物給付すべき」と、15市町が導入に前向きだった。5町は現行通りと回答した。

 国が医療費抑制で国保会計への補助金を減額するペナルティーが実施されると、県の試算では県全体で約3億円、最多の佐賀市で約8千万円、最少の上峰町で193万円の補助金減額が見込まれるという。

 藤原俊之健康福祉部長は「見直す場合は混乱を避けるため、全市町統一すべきという意見がほとんど。今後、各市町と議論を深めたい。国には引き続き減額措置の廃止を求める」と話す。

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