漆塗りが生かされた台所

「漆の家」と呼ばれる井川邸

 旧長崎街道沿いの伊勢神社の南(佐賀市伊勢町)に、白い漆喰(しっくい)に濃茶色の格子が目立つ「漆の家」と呼ばれる大きな家がある。

 90年前に、財を成した人が贅(ぜいを)尽くして建てた家が、空き家となり壊されかけようとしていた。2014年に佐賀大学の井川健准教授(37)=美術工芸=がそれを購入し、施工者や学生が関わり改修再生し、仕事場の漆工房を兼ねた自宅として使っている。

 玄関を入ると、井川さんの妻で漆工作家の華子さんの作品が壁にかかる。居間と台所床、調理カウンターは拭き漆で仕上げられ、備え付けられたガラス戸棚には、漆塗りのおわんが並ぶ。拭き漆のテーブルも井川さん作で艶が出て木目が引き立っている。中庭に面したガラス戸と飾り格子は、有田の壊される古民家から譲り受けている。

 2階は工房や展示スペースとしても使われ、11月に京都で展示された華子さんの作品や、井川さんのシャープな作品群も、古いたたずまいに映えている。

 井川さんは「この家は、漆の作品を飾ると、より良く見せてくれます」と言う。家と人のコラボで漆の世界を垣間見ることができる空間となっている。(地域リポーター・上原和恵=佐賀市)

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