自衛隊が導入する輸送機オスプレイの佐賀空港への配備計画をめぐり、地元の佐賀市議会が受け入れ容認を決議した。

 決議は「県が公表した論点整理素案において、県民の安全・安心に関わる論点についておおむね不合理な点がないことを確認できた」とした上で、県に対して「防衛省の要請受け入れ」を、市には「積極的に県に協力する」よう求めている。自民党の会派が提出した。

 採決の結果は賛成20、反対15で、賛否は分かれた。

 なぜ、このタイミングなのか。

 オスプレイの安全性については、これまでの防衛省の説明そのものが、足元から揺らいでいる。昨年12月には沖縄県名護市沿岸に“墜落”し、機体がばらばらに大破した。今年8月にはオーストラリア沖の事故で3人が死亡し、9月にもシリアで墜落している。

 先月、米軍が新たに発表したデータでも、オスプレイの事故率は跳ね上がった。米軍普天間飛行場に配備される前と比べると、約1・7倍も上昇している。米海兵隊機全体の事故率をも上回り、これまでの「安全な機体」という説明は、もはや成り立たなくなった。

 こうした状況を受けて不安の声が高まり、佐賀県も安全性に関する説明を防衛省に求め、その回答を待っている段階にある。

 こうした検証も進んでいないにもかかわらず、なぜ容認という結論を出せるのか、理解に苦しむ。

 佐賀新聞社が11月に実施した県民世論調査でも、配備計画に対して「反対」が37・6%に上り、「賛成」の25・5%を大きく上回っている。前回調査で拮抗していた賛否が、反対に大きく傾いた格好で、オスプレイが次々に引き起こす事故・トラブルが県民に不安を抱かせているのは明らかだろう。

 この日の市議会のやりとりからは、ていねいに議論を重ねてコンセンサスをつくり上げようという姿勢は感じられなかった。

 質問した議員たちは、事故が起きた時のノリ養殖への打撃をはじめ、ラムサール条約に登録された干潟への影響はどうか、バルーン大会に支障はないか、など地元に密着した具体的なテーマを取り上げていた。いずれも当然の疑問だろう。

 これに対して自民議員は「答える立場ではない」「防衛省の説明通り」などと繰り返し、しっかり説明しようとはしなかった。

 すでに県議会も同様の決議を可決しているが、その時に賛成した公明党も今回は反対にまわり、自民党会派の中から離脱する議員も出た。こうした姿勢は、数の力で推し進めたようにしか市民の目には映らないのではないか。

 特に違和感を覚えたのは、まるでお墨付きでも得たかのように、県による「論点整理素案」を繰り返し挙げた点である。というのも、素案がまとめられたのは5月であり、事故率など当時とは状況が大きく変わってきている。論点整理そのものの再検証が必要ではないか。

 このほかにも、公害防止協定の取り扱いや、将来的な米軍利用など、数々の論点が残されている。今回の決議が、不安を抱く市民を置き去りにし、国策の圧力に耐え続けている漁業者を孤立させてしまうのではないかと、強く懸念する。(古賀史生)

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