「宝の海を返せ」とシュプレヒコールを繰り返すノリ漁師たち=長崎県諫早市

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門からの大量排水を巡り、佐賀県西南部地区のノリ漁師ら約100人が18日、堤防付近で抗議の海上デモを行った。約40隻の漁船が集結し、堤防で閉め切った調整池からの排水が影響し養殖ノリの色落ち被害が出ているとして、国や排水門を管理する長崎県に対し大量排水をしないよう求めた。

 「宝の海を返せ」「有明海を汚すな」。漁船を連ねた漁師たちは拳を突き上げ、シュプレヒコールを繰り返した。県有明海漁協鹿島市支所七浦事業所の青年部の呼び掛けに応じ、白石町や太良町の有志も参加し廃業への危機感を訴えた。

 漁協などによると、県東部では安定した生産状況が続く一方、西南部地区は色落ち被害が続いている。昨年は赤潮発生で冷凍網の張り込みを遅らせたが、不作に終わった。今季はさらに深刻で秋芽ノリが昨年の半分以下だったという松本拓矢さん(31)=七浦地区=は「家族のため気力を奮い立たせているが、不安で先が思いやられる。海が好きなのに」と語った。

 漁協はこれまでも排水を1回100万トン以下に抑えるよう要望していたが、秋以降に大幅に上回る排水があったため、デモに踏み切った。発起人の一人、松本徳幸さん(39)は「急な呼び掛けに、ノリ網の撤去で忙しい時期にもかかわらず、多くの漁師が集まった。ノリ漁期中は一滴も流してほしくないのが本音だが、しっかりと排水の分散を徹底してほしい」と語気を強めた。

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