日本で働きながら知識や技能を身に付ける外国人実習生が増えている。11月には、技能実習制度の基本方針や関係者の責任を定めた技能実習適正化法が施行。実習期間はこれまでの最長3年から5年に延長され、対象職種に「介護」が加わった。今後、さらに増加が見込まれ、受け入れ側のあり方も見直していきたい。

 在留外国人の増加は都市部に限らず、地方にも及んでいる。佐賀県で生活する外国人は6248人(10月1日現在の推計人口)で、昨年より1108人増えた。増加率は17・7%で、全国最高だった昨年の増加率をさらに上回っている。このうち、最も多いのが技能実習生。前年比426人増の1863人で、全体の36・2%を占めている。

 こうした状況を踏まえ、佐賀新聞は12月の人権週間(4~10日)に合わせ、在留外国人の人権をテーマにした連載企画を掲載した。技能実習生についても取り上げ、最低賃金を下回る時給で時間外勤務を課せられたり、賃金未払いがあったりするなど、企業側が「安価な労働力」として受け入れている実態を描いた。

 昨年、佐賀労働基準監督署が実施した受け入れ企業の立ち入り調査では、63件のうち49件で安全基準や賃金不払いなどの法律違反があり、是正勧告を受けた。全国では25万人以上(6月末時点)が働いており、多くの実習生が厳しい環境に置かれながらも「金を稼ぐため」と耐えているとみられる。

 技能実習制度は、母国の経済発展に日本の技術などを生かしてもらうという「国際貢献」を目的に掲げ、1993年に導入された。少子高齢化が急速に進む日本にとって、実習生は大切な働き手となってきているが、導入の目的を置き去りにして、単なる労働力と捉えては国際社会の信頼を損ないかねない。

 対象職種に加わった介護分野は、慢性的な人手不足となっている。団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年に要介護認定を受ける人は604万人に増え、介護職が38万人不足するといわれる。労働環境・労働条件の改善を進めなければ、制度のゆがみは大きくなるばかりだろう。

 技能実習適正化法の施行に伴い、実習生の出身国側と受け入れ先をつなぐ「管理団体」が許可制となり、受け入れる企業・団体には賃金や労働時間を明記した実習計画を作成させることになった。法務、厚生労働両省が設立した「外国人技能実習機構」が実地検査などでチェックするとしている。

 暴行や脅迫など実習を強制するような人権侵害には、罰則も設けられた。今後、労働力確保やコスト削減だけを狙っていては受け入れ先として淘汰(とうた)される。人材の育成と共生の視点を持って、制度の定着を図っていきたい。

 同時に、職場だけにとどまらず、「生活の場」である地域でも共生の意識の醸成が求められる。日本語が十分に使えず、日本の生活習慣や社会のルールに不慣れな実習生がトラブルを起こす場合もあるだろう。受け入れ企業をはじめ、支援する民間団体や地域住民が協力して、少しでも実習生の不安が和らぐようにしたい。双方にとって有益な制度とするためには、支え合う関係づくりが重要になる。(大隈知彦)

このエントリーをはてなブックマークに追加