もしも、働かなくても毎月決まった額の収入があったら。それも、暮らせるだけの額を―。そんな夢のような話が、まじめに議論されている。「ベーシック・インカム(BI)」である◆一定額を国民ひとりひとりに支給するという考え方そのものは、目新しくはない。社会主義もそんな理念だろうが、BIの場合は、資本主義と組み合わせるのがポイント。国民一律のBI導入で生活保護や年金などの複雑な社会保障制度をひとくくりにして効率化できる◆現行制度だと、生活保護受給者と、受けていない低所得者との間には、とかく不公平感が生じがちで、これを緩和するために、生活保護費のうち、食費や光熱費に充てる「生活扶助」の最大5%カットなども検討されている。一律のBIなら公平になろう◆すでにフィンランドが実証実験に入るなど、いいことずくめに思えるBIだが「働く意欲をそぐのでは」などの批判も根強い。スイスでは昨年、月27万円を支給するBIの国民投票が否決された。将来も維持できるか、財源の不安が大きかったようだ◆人工知能(AI)に人間の仕事が奪われる近未来も語られ始めた。失業者があふれて社会が不安定になるという指摘もあり、強力なセーフティーネットとしてBIの出番が来るかもしれない。AIとBI、なんだかよく似た名前だが…。(史)

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