子どもセンター「うるる」でタマネギの苗植えを楽しむ子どもたち=江北町の子どもセンター「うるる」

 「こっちにも植えてあげて」「上手、上手」。今月1日、江北町の子どもセンター「うるる」の園庭では、十数組の親子が畑にタマネギの苗を植えていた。同施設を利用する親子向けのタマネギ苗植え体験会。2歳と0歳の娘2人と参加していた松尾栞里(しおり)さん(27)は「用事がない日はここで遊ばせます。毎日開いているし、こういうイベントもあるから」とほほ笑んだ。

 うるるは、子どもや子育て世代の交流の場として2012年に完成した。日曜日と祝日以外は毎日開いており、絵本やおもちゃ、遊具で思い思いに遊べる。放課後は学童保育にも利用され、他の児童も一度帰宅して遊びに来る。周辺は町立こども園の町幼児教育センター、江北小、江北中といった教育関連施設が集まる地域だ。

 江北町は本年度から小中学生の給食費を無料にしたが、小中各1年生の無償化には00年に県内で初めて取り組み、注目を浴びた。当時既にあった出生祝い金や医療費助成に、その後も未就園児へ毎月の絵本配布(04年)、15歳までの医療費無料化(12年)などの事業を上乗せし、「子育ての町」のブランドを築いてきた。うるるは、そうした町の象徴的な施設でもある。

 数々の支援策が奏功してか、子どもの数は近年、横ばいを保っている。国勢調査では2010年の年少人口(15歳未満)が1312人だったのに対し、15年は1360人と微増。さらに17年4月1日現在の推計人口でも1356人と、減少していない。

 一方で「子どもたちを取り巻く環境は急速に変わった」と語るのは、長くボランティアで子育て支援に携わってきた二宮幸枝さん(63)。町社会福祉協議会(社協)の依頼で00年ごろ、夏季休暇中の学童保育ボランティアを数人で始めた。当時を「共働きの核家族が増え、夏休みの子どもたちに目を配る人が必要だった」と振り返る。

 就学児童を見守る無名のグループはその後「ちょうちょ」となり、子育て情報誌の発行や子どもサロン開設などに取り組んだ。現在は社協の一時預かり事業を担い、緊急的な保育ニーズに応えている。

 町内にはほかにも、児童館「ビッキー」(三苫紀美子代表)や「にじいろ文庫」(武富由美代表)など、子どもたちの居場所となる民間の施設がある。社協関係者は「町民全体で子どもを育てようという空気がある。町や社協だけで対応できない部分は、そんな力に支えられている」と語る。

 子どもを取り巻く環境変化はいまなお続く。町では昨年度から待機児童が発生し、小規模保育所「なのはな」を開設したが、本年度も待機児童か、希望する園の空きを待つ「隠れ待機児童」が8人いる状況だ。

 そんな中、19年4月に保育園を新設する計画が浮上した。新たに保育事業に参入する町民によるもので、永林寺保育園(遙山典仁園長)も既存の園舎を改築するほか、その後、第2園を開く構想もある。遙山園長は「将来的な子育て環境整備の全体構想を町が示してくれれば、できる範囲で協力する。新しい参入者もいることで刺激にもなる」と意欲を語る。

 一方の町は、多くの子育て世帯が待ち望んでいる市街地内の公園を19年度をめどに開園する。「より子育てのしやすい町になっていくのでは」と遙山さん。町民に支えられながら、「子育ての町」は次の一歩を踏み出す。

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