江北町八丁付近の航空写真 大きく蛇行していた六角川のショートカットの様子がわかる・メール

 江北町山口、佐留志、惣領分の各地区にまたがる国道34号バイパス、通称「ひふみ通り」。周辺には小字名で上分(かみぶん)、下分(しもぶん)、宿(しゅく)と呼ばれる地域があり、そこが現在、町の人口維持を支えている。民間の宅地開発が進み、大型ショッピングセンターのジャスコ(現・イオン江北店)が進出した頃に比べると、3地区合計世帯数は266から826へと3倍以上に増加。現在もなお増え続けている。

 町内の不動産業者は「分譲されればすぐに買い手がつく地域。こんな状況がここ8年から10年続いている。県内でもこんな地域は珍しい」と語る。

 歴史をひもとくと、一帯の開発は国道34号のバイパス化により始まる。1981年、渋滞解消のための国道拡幅の一部として、牛津町(現・小城市)との町境に近い上惣交差点から、国道207号との東分交差点まで約2キロのバイパスが片側1車線で開通した。89年には、JR肥前山口駅の南北をつなぐ自由通路が開通し、鉄道とのアクセスも向上。商業施設進出の嚆矢(こうし)となったジャスコは93年に開店した。バイパスはさらに99年、東分交差点以西にまで延伸。一部は2004年までに4車線化し、現在の形になった。

 ジャスコ進出以降、一面の農地の中にも徐々に住宅が建ち始めたことで、町もまちづくりの計画に動き出した。96年、「町住宅マスタープラン」を策定。この一帯を商業施設や住宅の集積地域とする青写真を描くとともに、4メートル幅だった周辺道路も拡幅し、歩道も整備することなどを盛り込んだ。翌年には一帯約73ヘクタールを農業振興地域から一括で除外。さらなる宅地開発が促された。

 事業所が住宅を呼び、住宅がさらなる事業所を呼ぶ循環ができた。進出してきた事業所は、ハード面での地域形成に大きく影響しただけでなく、ソフト面でも地域づくりに働き掛けてきた。

 周辺事業所は、健全な発展と地域の振興を目的に2002年、「ひふみ通り振興会」を創設した。同会は町内で開催されるスポーツ大会への協賛、町の祭りでのブース出店などに取り組んできた。昨年度には、新事業として「ひふみ通りこどもスケッチ大会」を初開催。2年目となる今年は、加盟店共通商品券「ひふみ通り振興券」を新たに発行し、受賞者の副賞とした。

 同会の特徴は、地元の個人事業主だけでなく、町外や県外に本社がある大型店やチェーン店も加盟している点にある。現会長の諸富孝之さん(62)はそうした事業所について、「本社ともやり取りをして事業に加わってもらうなど、非常に協力的」と話す。

 この地域では、さらに店を増やそうとする動きもあるという。「広い意味での商店街だと思っている。互いに競争心を持ちつつ、融和の心でこれからもやっていきたい」と諸富さん。バイパスとともに育ってきた町は、まだ成長の途中にある。

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