政府は、法的義務である国営諫早湾干拓事業の開門調査をしない代わりに創設する和解のための基金の経費として概算要求に盛り込んだ100億円に関し、2018年度当初予算への計上を見送る方針を固めたことが15日、分かった。全ての関連訴訟で和解協議すら開かれていない現状では予算化できないと判断した。開門せずに基金で和解を目指す政府方針に変わりはなく、「適切な時期をみて予算化する」としている。

 また、2010年の福岡高裁確定判決で開門の義務を課されて以降、初めて開門対策経費の予算を計上しない。4月、開門差し止めを命じた長崎地裁判決の控訴を見送り、開門せずに漁業振興基金で和解を目指すとした政府方針を予算編成にも反映させた。本年度は61億9千万円を組んだが未執行となっている。

 訴訟を巡っては、確定判決の勝訴原告の漁業者に、制裁金の強制執行をしないよう国が求めた福岡高裁の審理が来年2月26日にも結審する見通しで、漁業者と国の双方が結審後の和解協議の再開に前向きな意向を示している。政府関係者は「予算化のタイミングは和解協議が始まってすぐになるのか、成立の見通しが立った時点なのか、決めているわけではない」と話す。

 ただ、概算要求に100億円を計上したのは政府方針を進めていくというメッセージの意味も強かっただけに、政府関係者は地元の受け止めを懸念する。「国がいったん100億円出すと言った以上、和解が成立すれば予算措置する。漁業者には信頼していただきたい」と強調している。

 一方、有明海特措法に基づく再生事業費は例年通り、約18億円を計上する。沿岸4県が取り組む水産資源回復などの事業の多くが本年度で3年計画の最終年となり、事業を組み替えるが満額を確保した。

 開門調査を実施するまで国が漁業者側に支払い続けている「間接強制」の制裁金の費用は例年通り、1日90万円の365日分に当たる3億2850万円を計上する。

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