完成した作品。モデルはサッカー・ブラジル代表のネイマール=多久市の京町商店街

「直線的な絵だが、あたたかみのあるものを」と話す澁谷忠臣さん=多久市の京町商店街

 多久市の京町商店街を東に進むと、鋭く力のある瞳と目が合う。サッカー・ブラジル代表のネイマールだ。描いたのは、ナイキや米国のワシントンポストなど国内外で活躍するアーティスト・澁谷忠臣さん=横浜市。「絵を楽しんで、好きになってほしい」と話しながら、絵に向き合った。

 描いたのは民家の壁。「家に絵を描くのも、描かれるのも特別なこと」。緊張もあったが、気合を入れて臨んだこともあり、初日の作業は驚くほど先まで進んだ。2日目の夜。民家の家主さんとご飯を食べながら、家主さんの息子がサッカーをしており、その息子さんがネイマールを題材に決めたことを初めて知った。「その思いの分もしっかり描かなければ」。やりがいが増した。

 面積は幅8メートル、高さ6メートルで期間は約3日間。これまでのノウハウを全てつぎ込んだ。色は限定して4色。ブラジルを連想させる緑と黄色を選んだ。デザインは事前に壁の写真をもらい考案。下塗りはせず、1メートル×1メートルのマス目を壁に引き、それを目安に下書きした。大部分を塗るのはローラー。角を駆使し、直線もフリーハンドで引き、細かい部分ははけで仕上げた。

 期間を全て費やすことなく、2日半で完成。“初めての民家”“限られた時間”から「今回は挑戦」と捕らえていた澁谷さんは、最後にサインを入れ、少しほっとした表情を浮かべた。

 商店街で店を営み、毎日絵を見に来ていたという深山益稔さん(41)は「どこから見ても目が合う。すごいな」と右から左から眺め、澁谷さんは「街の人との交流が新鮮で面白かった。喜んでくれたら」と目を細めた。

 多久市ウォールアートプロジェクトの一環で実施した。

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