県内の自治体職員の不祥事、処分を報じる紙面

 最近、「ガバナンス」という言葉を頻繁に目にする。日本語で「組織統治」の意味だ。神戸製鋼など一連の検査データ改ざんでは「企業ガバナンスの不全」が厳しく問われ、元横綱日馬富士の暴力問題を巡っては「日本相撲協会のガバナンス能力の欠如」が指摘される-。というように、いずれも負の文脈で使われている。

 佐賀県内でも「ガバナンスの低下」としか言いようのない事案が続く。自治体職員の不祥事だ。

 小城市では観光協会の役員登記を巡って担当課長が文書を偽造し、観光イベントの赤字を補てんするため公金を不正に流用していたことが発覚した。玄海町では課長が係長当時、区長研修のバスの借り上げ料を水増し請求し、差額を参加者の飲食やコンパニオン派遣などの費用に充てていた。

 私的流用はないとのことだが、公務員にとって最も大切な行政文書の適正な手続きと公金感覚が問われている。

 1990年代、裏金づくり、カラ出張、カラ接待など、公金を巡る役所の構造的な不正が連日報じられた。そんな体質、感覚がまだ残っているのか。OBや議員からも嘆く声が聞かれる。

 小城市の件は観光協会職員の内部告発で明るみに出た。玄海町は異動をきっかけに後任者が不正に気づく一方、公益通報制度による告発が行われていた。組織としてチェック機能、自浄作用は働いたのか。個人のコンプライアンス(法令順守意識)とともに、その点が気がかりだ。

 唐津市では職務外での公用車使用や住民基本台帳の不適切な閲覧など、職員の懲戒処分が4月以降、3件発生している。この10年来、部長らによる不正事件が続き、信頼回復と意識改革を掲げた峰市政が今年2月誕生した。それだけに市民の失望感は大きく、開会中の市議会一般質問では議員が「教訓として生かされていない」と体質を追及した。ごく一部の職員の行為であれ、不信と疑念は組織全体に向けられる。

 今年2017年は地方自治法が施行されて70周年だった。憲法と同時に施行され、戦後民主化の象徴、国家統治の規範として、自治体や地方議会の運営に関する基本的なルールを定めている。

 節目の年だったが、一部法改正され、「内部統制制度」が導入された。自治体職員の不正行為や不祥事を未然に防ぐとして、都道府県と政令指定都市に対して内部統制の体制づくりを求め、議会への毎年の報告を義務づけている。

 内部統制とはいかめしいが、法的な手だてを講じざるを得ないゆえであろう。佐賀県や市町で公務員の職にある人は約1万2千人。一連の不祥事を「他山の石」とし、全体の奉仕者としての使命と自覚を胸に刻みたい。(吉木正彦)

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