大学入試で問われる歴史用語が多すぎる影響で高校の歴史教育が暗記に偏っているとして、大学、高校教員有志でつくる研究グループが、教科書本文で扱うべき重要用語を精選した案をこのほど公表した。「歴史の変遷に関する説明に必須か」などの観点から選び、用語を現状の半分程度にとどめており、日本史では坂本龍馬や吉田松陰、武田信玄、上杉謙信ら著名な人物でも案に入らなかった。

 案をまとめたのは、高校や大学教員ら約400人でつくる「高大連携歴史教育研究会」(会長・油井大三郎東大名誉教授)。用語を絞って授業時間を確保し、歴史の流れなどの考察力育成を促すのが狙いで、日本史と世界史でそれぞれ1600語程度を習得すべき重要用語とした。来春までに用語の整理を終え、教科書会社や大学入試担当者向けに提言する。

 研究会運営委員長の桃木至朗・大阪大教授(歴史教育)は「案はあくまで入試で用語を出題するかどうかの基準で、まだ変更はあり得る。案以外の用語を教科書で扱っても良く、郷土の偉人などを重点的に教えることは、むしろ推奨すべきだ」と語った。

 文部科学省も入試での歴史用語が膨大になっていることは課題とみているが、林芳正文科相は12日の記者会見で「案に文科省は関与しておらず、学習指導要領や教科書検定に影響するものではない」と述べた。

 研究会は重要用語の基準を(1)ほぼ全ての教科書に掲載(2)現代的課題を考える上で必要(3)歴史の大きな転換や時代の特徴の説明に必要―とし、細かすぎたり、図表や地図で学べば十分だったりするものは含めなかった。

 この結果、坂本龍馬などのほか、「ガリレオ・ガリレイ」「クレオパトラ」「蘇我馬子」「新選組」「桶狭間の戦い」といった一般になじみがある用語も外れた。一方、「厩戸王(うまやどのおう)(聖徳太子)」「関ケ原の戦い」などは重要用語として残り、現代的課題につながる「気候変動」や「難民」などが追加された。

 研究会によると、日本史、世界史ともに教科書に入る用語は現在、3400~3800語で、1950年代より3倍近く増えた。【共同】

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