荒廃した森林の再生を目指すNPO法人などの取り組みも森林環境税の事業に含まれる=小城市小城町(佐賀県提供)

 森林保全を目的に佐賀県が課税している「森林環境税」が導入から間もなく10年となる。全国的な荒廃森林の社会問題化を受けて各県が次々と設け、国もようやく創設に乗り出している。佐賀県は森林の再生事業に成果が出ている一方、負担する納税者の認知度が3割台と低い課題を抱える。市や町との連携による取り組みの「見える化」を通じた浸透を模索している。

 森林環境税は、国内木材価格の低迷による林業の衰退で深刻化する荒廃森林の対応策として37府県で導入され、佐賀県は2008年度から実施した。県民税に上乗せして個人500円、法人1千円~4万円(いずれも年額)を徴収し、年間の税収規模は約2億4千万円に上る。

■災害に強い森へ

 県内の森林面積は11万ヘクタールで県土全体の45%を占める。11年度の調査で、スギとヒノキの人工林約6万3700ヘクタールのうち間伐が必要な荒廃森林は1万5300ヘクタールだった。県は森林環境税を活用し、山間部の10カ所を「環境林」に選定して重点的に整備を進める。収益性が見込めず手入れもしにくい人工林を所有者に代わって間伐し、災害に強い針葉樹と広葉樹が混在する森林へ誘導している。

 県内市町に対する森林の購入や管理への支援事業を含めて森林整備に税収の9割を重点配分し、国などの事業も交えて間伐を急ピッチで進めている。本年度末までに荒廃森林の約7200ヘクタールを整備する見通しだが、まだ約8100ヘクタール残る。

 昨年8月に実施した住民と企業の意識調査では、森林環境税を「知っている」「聞いたことはある」が合わせて35%にとどまり、4年前の前回調査(42%)より7ポイント下がった。税の継続については「賛成」「どちらかといえば賛成」が前回(72%)より2ポイント増の74%を占め、森林保全に対する税負担には一定の理解があるものの、周知は十分ではない傾向が表れた。

■5年間継続提案

 森林環境税は実施期間が5年で、13年度に更新して本年度末が期限となる。有識者らでつくる県森林審議会では税継続を認める一方、「税の取り組みや効果の見える化が必要」とする意見をまとめた。県はさらに5年間継続するための条例改正案を11月定例県議会に提案している。

 新たな計画では、住民が木と触れ合う一環で公共施設などに県産材の木製品を使う市町を財政支援する。製品導入に合わせて森林環境教育の出前講座も行い、認知度アップを図る。

 森林環境税を巡っては、政府、与党も24年度から導入する方針を固めた。個人住民税に1人当たり年間1千円を上乗せして徴収する。県は22年度までの継続の方針に変更はなく、国の動向を注視していく。

 7月の九州北部豪雨で山間部の大量の木が有明海へ流れ込んだのを受け、県は山、川、海を一体とした自然環境を保全するプロジェクトを始動している。森林整備課は「森林は災害のリスクを下げる機能もある。森林の恩恵を受けていることや保全の意識を高めるためにも税の認知度を上げていく必要がある」と訴える。

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