20年を振り返る名曲を披露したHARCOさん=佐賀市松原のシアターシエマ

 佐賀市松原のシアターシエマで11月25日、母が有田町出身のシンガー・ソングライターHARCO(青木慶則)さんのライブと、HARCOさんが音楽を担当した映画「リトル京太の冒険」の上映会があった。HARCOさんは同名義の活動を今年で終え、来年以降は本名で活動する。今後しばらくはライブで同名義の曲を演奏しないとあって、駆け付けたファンらが熱心に演奏に耳を傾けた。HARCOさん最後のツアー22公演で、映画を上映したのは佐賀だけ。

 九州で初めて公開された同作は、大川五月監督の長編デビュー作。ファンタジーと現実を行き来しながら、主人公京太や周囲の人々の心がゆっくり再生していく様子を丁寧に描く。

 HARCOさんはキーボードを中心に、シンセサイザーやサンプラーなどを駆使して演奏した。テープなど文房具で音を立て、その場でサンプリングして曲に使うなど、趣向を凝らした約20曲を披露した。これまでの20年を網羅した選曲に、ファンらは大きな拍手を送っていた。

 男性なのに女性のような、捉えどころのなさが自身の音楽性と通じると考え「HARCO」の名で活動してきた。しかし地に足がついたスタンダードな音楽を奏でたいと、本名への変更を決意した。積み上げた20年分の曲を封印することについて、HARCOさんは「地続きで活動するより、リスクを負いたかった。険しいほうがやりがいがある」と笑顔を見せる。

 今後は「本名で活動すること以外、何も決まっていない」とHARCOさんは言う。決意を経て、ジャズの奏法を学ぶなど吸収することが楽しくて仕方ない42歳の自分を「20歳の頃に戻ったようだ」と喜ぶ。「シビアな感覚を持つ若い人にも『面白い』と思ってもらえるような音楽を作り続けたい」と、新たな場所に向かう。

 小さい頃から有田の祖父母を訪ねていたHARCOさんは、「自分にとっての『田舎』は佐賀」と話す。佐賀の海があまりに青く、「これはプールだ」と思ったことをよく覚えているという。

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