満天の星空とランタンともる吉野山キャンプ場

 カメムシの多い年は雪が多い。本当だろうかと思いつつ、しんしんと積もる雪を眺める。

 先週、とある研修のため久しぶりに由布院を訪ねた。夜に寄った一軒のバーにはトチノキの7メートルのカウンターと間接照明にほの暗く当てられた酒棚の間に、グレーの髪をなでつけた蝶(ちょう)ネクタイの主人がすっと立っていた。好みのウイスキーの世界をさらに深く広げてくれる会話と共通の友人の偶然のつながりもあり、ささやかだがこの上ない幸せの時間をもらう。

 先日、近くのキャンプ場にギターの先生のテントを訪ねた。氷点下のタープの下、真っ赤な炭火のコンロでの肴(さかな)とホットバーボンの湯気にこころ酔いつつ、音楽と映画の話に凍えながら深夜まで時間を忘れた。

 昼間の労働が融けるように癒やされる夜のひと時がある。きんと冷える寒さも世界を照らす月明かりもそれには欠かせない調味料だ。人生の一頁(ページ)一頁がいとおしいと言ったら言い過ぎだろうか。年末はなく、ただ冬があるだけだ。(養鶏農家)

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