まちづくりを語ろう会集合写真

町内で活躍する女性が集ったまちづくりを語ろう会=江北町役場

 佐賀新聞社は、江北町の地域振興をテーマとした座談会「まちづくりを語ろう会@江北」を開いた。「活力の源泉になる女性の声を聞きたい」という町の希望により、農業や福祉、教育などの分野で活躍する女性8人が参加した。それぞれの活動を通して感じた町の良さや課題を率直に語りながら、子育て環境や基幹産業の農業など町の魅力をさらに磨き上げる方法、中心部への転入増でじわりと広がる地域間格差などへの対応について、山田恭輔町長とともに意見を交わした。

 -皆さんの活動紹介を。

 赤坂 元気な高齢者の生きがいづくりに20年近く関わっている。「すいれんの会」というボランティア組織でデイサービスを行い、介護予防活動のほか、週2回のサロンも開いている。

 岸川富 JAの女性部長を16年、農業委員を6年務めた。町内の女性組織17団体約80人で「女性ネット」を構成、女性のレベルアップと親睦を図っている。昨年12月には、町と国交省と共同でベスト電器江北店前に花壇も作った。

 山下 町立幼稚園の教諭として採用された。園の管理職や園長を経て、現在は政策課長として町行政に携わっている。

 重松 10月から教育委員を務めている。結婚を機に佐賀市内から町に移って13年。実家の農業を手伝いながら3人の子供を育て、現在は町内で働いている。母親としての気づきや経験を教育現場に注いでいけたらと思っている。

 江頭 結婚して就農8年目。家族3人で米、麦、大豆、タマネギを作っている。麦の生産面積は約30ヘクタール。きついけど仕事のメリハリがあるし、自分で機械も動かして作業できるのが楽しい。

 岸川美 介護保険事業で在宅支援をしている。利用者は100人弱で、病院への有償運送希望者が多い。地域では独居が増え、高齢者に無関心な家族も散見される。商工会青年部に所属し、子供たちにダンスも教えている。体を動かして脱介護を推進しようと「ビッキー音頭」も作った。

 スタブネ ノルウェー出身で来日9年目。大好きな馬に乗れる場所を探して7月に越してきた。馬の飼育場「クラブリオ」で、乗馬体験やホースセラピーなど馬と触れ合う機会を提供している。天子社の「走り流鏑馬(やぶさめ)」を復活させるのが目標だ。

 吉岡 江北で生まれ育った。生徒会副会長として、介護老人保健施設「しゃくなげ」での交流やごみ拾いをしている。音楽部では九州大会に出場し、地域のイベントでも合唱した。

 町長 まちづくりのキーワードは「多様性」。性別や出身地を問わず、誰もが尊重し合い、活躍できる町にしたい。

 -町の良さ、改善すべきところは何か。

 岸川富 農業が町の基盤。農業委員で土地の利用権設定や集積に携わったが、町内には比較的、後継者が多い。一方、他地域に比べて健康保険料、水道料金が高いように感じる。

 山下 小学校時代に長崎県から転入し、町に愛着がある。道が狭く、拡張も難しい地域があるのは課題。

 重松 子育て支援は充実し、3人目の子供が生まれた時には一時預かりの利用もできて助かった。ただ、子育てしながら働ける場を探すのが難しい。

 江頭 転入などで人口が増えている地区がある一方で、少子化が進んでいる地区もある。うちの地区は今後、一緒に登下校する子供がいなくなる。

 岸川美 子育てはしやすい。ダンスを教えているB&G海洋センターは古く、冷暖房もなく使いづらい。

 町長 庁舎を含め、昭和50年代にできた施設が多く、時代に合わなくなってきているものもある。本年度中に方向性を出したい。

 スタブネ 人がいい。困ったら助けてくれるし、お裾分けなどの近所付き合いを楽しんでいる。町は県の中心として「へその町」を宣言しているが、外国人にとって「へそ」の印象は良くない。国際化が進む中で工夫が必要かと思う。

 吉岡 学校にエアコンや電子黒板が入り、すごく助かっている。町のことも大好き。ただ、交通事故が多いのが気になる。何か対策ができないだろうか。

 赤坂 農業の担い手が高齢化し、農地を預かる人が少なくなってきているのが心配。

 -これからどんな町にしていきたいか。

 山下 観光の町ではないと思うので、日常的に住みやすくて困らない、便利な町にできれば。人口を減らさず、転入者が定住したくなるようにしたい。

 重松 「町が好き」と中学生が言ってくれたのがうれしかった。ずっと住んでもらえる、自分の子供にも残ってもらえる町になってほしい。

 江頭 自分にできるのは農業をしっかりやること。うちの農園はさらに作付けを増やせる。人を常時雇うには規模を倍程度にしないといけないが、事業を拡大していく中で間接的にでも町に貢献できたらと思う。

 岸川美 病気や要介護にならない町にできれば一番いい。糖尿病やがん患者も多いが、それらを予防する取り組みをさらに進めていきたい。

 スタブネ 観光客をもっと増やしたい。乗馬は日帰りでもできる。情報をどんどん発信して九州だけでなく、海外からも「こんな場所があるんだ」と来てもらえる施設にしたい。

 町長 クラブリオが観光の目的地になってもらいたい。町内には目玉となる観光施設がないので期待している。

 吉岡 大人になって町を離れても、みんなが戻ってきたいと思う町にできればいいと思う。

 岸川富 町とも連携しながら、新規就農を増やす事業を精力的にできれば。農業の後継者を育てていきたい。

 赤坂 元気な高齢者の受け皿づくりをこれからも続けていく。町には補助などで応援してもらいたい。

 町長 江北は人口1万人未満の小さな町。「あれもこれも」というわけにはいかない。漫画の主人公のように、いつも目立つわけではないけれど、物語には欠かせないキャラクターのような存在になれたらいい。大事なのは、いろんな人が互いに尊重し合えること。子供たちが一度は外に出ても、チャンスがあれば戻ってきたいと思ってもらえる町にしたい。

 ■出席者

 赤坂喜佐江さん(75)=JAさが杵島支所寄り合い所「すいれん」事務長

 岸川富差子さん(67)=町女性ネットワークの会会長

 重松亜須香さん(41)=町教育委員

 江頭由佳さん(32)=江頭農園

 岸川美佳さん(39)=ヘルパーステーション「扇子」代表・ダンスインストラクター

 スティネ・スタブネさん(29)=馬と人の居場所「クラブリオ」スタッフ

 吉岡莉胡さん(15)=江北中3年

 山下栄子さん(58)=江北町政策課長

 山田恭輔(江北町長)

 ■進行

 澤野善文(佐賀新聞社編集局長)

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