鹿島錦保存会が50周年を記念して制作したびょうぶと会員たち=祐徳稲荷神社

 全て手織りで紡がれる伝統工芸「鹿島錦」の保存会は来年で発足から50周年を迎える。緻密で繊細な手仕事が必要とされ、一日で数センチしか織ることのできない鹿島錦。保存会はこのほど、半世紀の歩みを記念して構想から5年がかりで制作した「二曲一双屏風(びょうぶ)」を鹿島市と祐徳稲荷神社に寄贈した。

 絢爛(けんらん)豪華な屏風はそれぞれ半双ずつ贈られた。金箔を施した和紙を経糸(たていと)に、絹を緯糸(よこいと)にして紡ぎ、縦15センチ、横28センチの織物154枚を貼り合わせた。網代文様を基調に優雅な美しさを醸している。鍋島朝倫宮司は「長い歴史を感じさせてくれる大作。大変ありがたい」と語った。屏風は来客を迎える応接室に飾られた。

 会員は現在50人ほど。初心者向けの教室を含め月に6日、活動日を設けて技術の継承を進める。3カ月前に門をたたいた小川智子さん(60)は「繊細な文様がとても美しい」と魅了された。糸で織る前段として、紙を使った課題で基礎を学んでいる。

 保存会代表で1968年の結成時から携わる101歳の樋口ヨシノさんは「大変だったこともあったが、継続の力は大きい。皆で教えたり、教えられたりしながら、鹿島錦をこれからもしっかりと後世に残していきたい」と話す。

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