映画『花筐』の唐津先行上映会で舞台あいさつする大林宣彦監督(左から2人目)と出演者。左端は原作者の長男檀太郎さん=唐津市民会館

 唐津を舞台にした大林宣彦監督(79)の映画『花筐/HANAGATAMI』の地元先行上映会が7日、唐津市で始まった。初日は市民会館で昼夜2回上映され、公開を待ちわびていた約1800人が鑑賞。肺がんで余命宣告を受け、命懸けで撮影を敢行した大林監督が駆け付け「青春がなかった世代の無念の思いを未来の私たちの子どもや孫にはさせたくない」と作品に込めた思いを語った。

 映画は戦時下の青春群像劇。原作は檀一雄(1912~76年)が1937(昭和12)年に発表した同名の短編小説で、大林監督は映画化を40年間温めていた。撮影は昨年8~10月にかけ、虹の松原や旧高取邸など約40カ所であり、エキストラ約2千人、ボランティア約900人が支え、唐津くんちの曳山(やま)14台が全面協力した。

 すべて唐津で撮影されたが、描かれているのは実在する唐津とは違う。舞台あいさつで大林監督は「唐津の魂を唐津の皆さんが一緒になって映画の中に作った。これは間違いなく唐津の風景。そのことを皆さん、誇りに思ってください」と述べた。キャストの常盤貴子さん、満島真之介さんらも登壇した。

 「12月8日」の日米開戦の前夜を描いた3時間近い大作を通じ、観客は、「青春が戦争の消耗品だなんて、まっぴらだ」とのメッセージを胸に刻んだ。友人8人と鑑賞した唐津市熊原町の清水隆代さん(79)は「自分の生きた歴史に結び付いた。正直重苦しい気分にもなったが、ずっしり心底響いた。見ることが監督への恩返しになる。これから背負って立つ若者にぜひ見てほしい」と感激した様子だった。

 先行上映会は17日まで唐津市と玄海町の8会場で計18回ある。全国では16日から東京・有楽町スバル座や佐賀市のシアター・シエマなどを皮切りに順次上映される。

このエントリーをはてなブックマークに追加