草が生い茂るスキー場跡地に放置され、老朽化した高床式倉庫=新潟県南魚沼市(佐賀県提供)

 佐賀県は、15年前にホテル運営会社(新潟県)に売却した吉野ケ里遺跡の高床式倉庫の代金を回収できないとして約160万円の債権を放棄する方針を決めた。経営不振となった同社経営者と連絡が取れず、今年1月に債権の時効を迎え、回収不能と判断した。債権放棄の議案を開会中の定例議会に提案している。佐賀でよみがえった高床式倉庫は新潟の地で放置され、朽ち果てようとしている。

 県文化財課によると、高床式倉庫は木造で高さ約4メートル、床面積約30平方メートル。1989年ごろ吉野ケ里遺跡に2棟を建設した。2002年、国立公園整備に伴い1棟を旧三田川町に譲り(老朽化で15年に撤去)、もう1棟を入札で新潟県南魚沼市のホテル運営会社に約350万円で売った。

 支払いは一括の条件だったが、同社が分納してきたため、県は毎年督促状を送付。05年を最後に振り込みが途絶え、連絡も取れなくなった。その後の調べで、取引先の旅行会社の倒産に伴い、ホテル運営会社の経営が悪化し、経営者の男性は倒産手続きをしないまま、行方不明になっていたことが分かった。

 県は07年に裁判所に債権認定の手続きを取った。文化財課が数回、現地に赴き住民票上の住所を訪ねたが、男性に接触できなかった。そのまま今年1月に時効の10年を迎えた。

 高床式倉庫は9月、草の生い茂ったスキー場跡地に現存するのを確認した。周辺住民の話では土器が見つかる地域だといい、文化財課は「閑散期の客寄せに活用するつもりだったのかもしれない」と推測する。

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