新規創業や第2創業の相談を受ける佐賀市産業支援相談室の梶山稔弘マネジャー(左)=佐賀市

 8月、佐賀市に自動車整備工場が開業した。県内では少ない女性の整備士が車検や修理に対応。大手チェーンやディーラー系工場との競合が激しい業界で差異化を狙う。

 銀行からの借り入れのほか、国の創業補助金200万円を開業資金に充てた。補助金の受け付けや相談に応じる市産業支援相談室の助言を受け、事業計画を策定した代表の田中里絵子さん(38)は「女性客の取り込みを狙った計画が評価された」と振り返る。

 佐賀銀行が2016年度に実施した創業関連の融資は365件。融資額は非公表だが、「件数、額ともに過去最高」とし、本年度は9月末までで331件に上っている。

 日本政策金融公庫佐賀支店の16年度の創業融資件数も過去最高の180件。融資額は過去2番目だった。創業者は30~40代が最も多く、民間金融機関との協調融資も創業を理由とした申し込みが目立つという。

 歴史的な低金利状況を受けて新事業に乗り出す事業者も出てきている。佐賀市の生花販売たかつかは、日本公庫の融資を受けて女性向けのカフェをオープン。高塚保光社長は「花屋だけでは勝負できない時代。金利低下も挑戦の後押しになった」と話す。

 融資が増えている背景には、担保や保証に依存せず、金融機関の経営指導力を発揮するよう促す金融庁の方針がある。日本公庫の担当者は「財務の健全性は重要だが、新規性や将来性も融資を判断する大きな項目」と役割を強調する。

 景気回復により、融資先企業の貸し倒れが減少したことも金融機関の積極姿勢を後押ししている。ただ、14年の経済センサスによると、県内事業所の廃業数は6066件で、新設を101件上回った。

 人口減少が進み、個人消費も力強さを欠くなど先行きは見通しにくい。佐賀市産業支援相談室の梶山稔弘マネジャーは「価格競争から一線を画した革新的な事業計画と、採算を重視した戦略が事業継続に欠かせない」と話す。

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