「第1回ウオーキングフェスタin百済」のスタートの合図で進み出す参加者ら=扶余のクドゥレ渡船場

 古くから日本とも歴史的に縁のある朝鮮半島で栄えた古代国家「百済(くだら)」の都市・扶余(プヨ)。忠清南道(チュンチョンナムド)の扶余郡でこのほど、「韓国ウオーキングフェスタ」(韓国観光公社など主催)が初めて開かれた。日韓合わせて1360人が参加し、日本からは200人が紅葉に染まる山道や、ユネスコ世界文化遺産に指定された歴史遺跡地区などを歩き、百済文化の歴史に思いをはせた。自然や歴史を楽しめる韓国の魅力を紹介する。

 

 首都ソウルを南下し約175キロの場所にある百済の最後の都・泗〓(サンズイに比)(サビ)があった扶余(プヨ)郡。韓国と日本の深いつながりが始まったとされる場所で、ウオーキングフェスタは日韓両国の友好をより強いものにするきっかけづくりにと開かれた。

 ◆1400年前の絆 

木々の葉が色づく山道=扶蘇山

 大会当日は天候に恵まれ気温24度。温かい日差しが降り注ぐ絶好のウオーキング日和となった。開会式では、韓国観光公社の鄭昌洙(チョンチャンス)社長が「世界文化遺産に登録されるほど歴史的な意味が深い場所で韓国人と日本人が一緒に歩き、1400年前の先人たちが築いた友好を強める機会になることを祈念する」とあいさつした。

 参加者は「クドゥレ渡船場」から出発し、標高106メートルの扶蘇山の麓に造られた扶蘇山城(プソサンソン)へ。百済の泗〓(サンズイに比)時代(538~660年)に中心となった城で、横を流れる白馬江(ペンマガン)に浮かぶようにそびえる山の地形を利用して築かれた。「落花岩コース」「紅葉コース」「初心者コース」が設けられ、参加者は自分の体力や目的に合わせ歩いた。

 扶蘇山城の頂上にあるのは落花岩(ナックァアム)。扶蘇山の北側から白馬江を見下ろすように高くそびえ立つ岩の絶壁で、660年、新羅と唐の連合軍の侵入により百済が滅亡した時に多くの百済の女官たちが川に身を投げたと伝えられる。その姿がまるで花びらが散るかのようだったことから落花岩と名付けられたという。

 落花岩の頂上には百済の女性たちをたたえる「百花亭」というあずまやがあり白馬江が眺められる。穏やかに流れる川だが女官たちはどのような気持ちで身を投げたのか。参加者は当時の女性たちに思いをはせた。

 山道の脇にはモミジなどの木々の紅葉が楽しめる。我々は落花岩と紅葉の名所を巡るコースを歩いたが、頂上までアップダウンが激しく足腰が鍛えられる道だった。疲れを感じた時に赤や黄色に色づく葉が風に吹かれる光景を見ると気持ちも晴れやかに。参加者の多くがカメラを片手にウオーキングを楽しんでいた。

 ◆町中に寺院群

百済王宮の南側に作られた人工池の「宮南池」=扶余
落花岩の頂上にある「百花亭」=扶蘇山
百済時代を代表する五層石塔=定林寺址

 山を下り扶余郡の町中へ。百済時代に建てられた定林寺址(チョンニムサジ)は、百済が首都を扶余に移した泗〓(サンズイに比)時代に中心となった寺院跡。都心に建てられた寺院では東アジアで最も古いお寺の一つとされ、中心部には花こう岩で造られた「五層石塔」がたたずむ。古代日本の寺院にも影響を与え、現代の京都や奈良には百済の歴史や文化が息づいているといわれ、実際に奈良に似た雰囲気があった。

 約80年の歴史を持つ由緒ある博物館国立扶余博物館では、唐津市の加唐島で生まれたとされる百済の25代王・武寧王(462~523)の墓などが集まる宋山里(ソンサンニ)古墳群などから出土した副葬品約4600点を所蔵する。中でも国宝に指定されている「百済金銅大香炉」の前にはひと目見ようと多くの観光客が集まっていた。

 ガイドの崔英淑(チェヨンスク)さん(59)は、「扶余は世界遺産にも指定され歴史的には非常に興味深い地。多くの人に訪れてもらいたい」「加唐島へはまだ行ったことがないけれど交流があることは知っている。いつか訪れてみたい」と佐賀と韓国との歴史に思いを巡らせた。

ウオーキングマップ

 

熟成韓牛本場の味覚

韓牛の焼き肉。焼き上がると店員がはさみで切ってくれる=薯童韓牛

 旅行の楽しみの一つである「食事」。韓国といえばビビンバ、プルコギ、焼き肉などの料理が思い浮かぶのではないだろうか。「バンチャン」と言われるサイドに出てくるキムチなどはおかわり自由なのもうれしいサービスだ。

 乾燥熟成肉の店「薯童韓牛(ソドンハヌ)」=忠清南道扶余郡=で、韓国の牛肉「韓牛」を味わった。網の上に大きな肉の塊を出され、表面を焼いていく。店員がハサミで一口大に切り分けてくれ、タレにつけていただく。熟成した肉とあって、柔らかく、何もつけなくても肉のうま味が堪能できる。

野菜の葉っぱにご飯などを包んで食べる=公州のクドゥレトルサンパプ

 石焼きご飯やプルコギなどを野菜で包んで食べる「プルコギトルサムパプ」は韓国ならではの料理。「トル」は石、「サム」は包む、「パプ」がご飯を意味する。専門店の「クドゥレトルソッパプ」=同=では石焼きご飯を葉に包んで味わった後、石の器にお茶を注ぎ、こびりついてできたご飯のおこげを浮かせて食べるのが、ガイドの崔英淑さんがお薦めする食べ方だ。韓国ではおこげのスープがあり、崔さんは「わざわざおこげを作るほど韓国の人はおこげが好きなのよ」と教えてくれた。

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