佐賀県産麦の生産量の推移

麦まき作業の遅れを取り戻そうと急ピッチで作業を進める生産者。あちこちの圃場でトラクターが忙しく動き回っている=佐賀市川副町

 全国有数の作付面積と生産量を誇る佐賀県産麦の播種(はしゅ)が大幅に遅れている。適期にあたる11月中旬から今月上旬にかけて断続的に雨が降り、曇天続きで圃場(ほじょう)が乾かず、作業ができなかったためだ。近年は雨にたたられて収量低迷が続き、本年産も小麦、大麦ともに平年作を下回っており、県やJAは早期播種と湿害を防ぐ圃場の排水対策を呼び掛けている。

 「麦をまこうと思ったら雨が来る。本来は11月中に終わっていないといけないのだが…」。8日、佐賀市川副町の圃場。計画より10日以上遅れてようやく小麦の播種に取りかかることができた生産者は、恨めしそうに空を見上げた。

 貴重な晴れ間を生かし、次に控える大麦の播種まで一気に片付けようと急ピッチで作業を進めた。ただ、周辺では播種の前準備の耕起に取りかかったばかりのところも。佐城農業改良普及センターは「大豆の刈り取りが遅れて作業日程がずれ込んでいる地域もあり、播種が終わったのはまだ3~4割程度」と話す。

 佐賀県は平野部を中心に米大豆の裏作として麦の生産が盛んだ。本年産の麦類の合計作付面積は2万800ヘクタール、生産量は5万1500トンで、ともに北海道、福岡県に次ぎ全国3位。

 ただ、大麦、小麦とも生産量は2009年以降、下降傾向が続き、二条大麦は作付面積全国1位を維持しながらも、生産量では栃木県に首位の座を明け渡す結果となっている。

 収量低迷の要因は複合的だ。播種適期に加え、成長期の1、2月に雨が降ると雑草や防除の管理作業が不十分になる。さらに近年は熟す時期の4、5月が高温で、梅雨並みの雨が降り、根が傷んで成熟不足となることも。昨年産は生育に重要な時期にことごとく雨に見舞われた。

 県農産課の永渕和浩課長は「近年の多雨は気候変動ととらえ、生産現場が今まで以上に排水対策に高い意識を持つ必要がある」と指摘。あぜ道との境目や圃場内に排水溝(明渠(めいきょ))を深く掘るなどの基本作業の徹底を呼び掛ける。スムーズに麦まきに移行できるよう、前作の水稲から圃場に水を入れない乾田直まき技術の確立を目指し、排水対策のさらなる研究も進めている。

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