天皇陛下崩御に際して、過去には次の元号を巡る新聞各社の取材合戦が起きている。そのあおりで、大正から昭和への改元の時には、誤った新元号を報じた在京紙もある◆大正、昭和改元時、新元号決定の一連の作業は主に宮中や枢密院が担ったが、平成への改元時は首相官邸だった。当然のことながら、血眼(ちまなこ)になった記者たちの「主戦場」は官邸だ。さまざまな情報が入り乱れる中で、こんなこともあった◆当時の官邸の主は竹下登首相。「慶応、明治、大正、昭和の元号は皆、大学名になっている。だから次の元号は早稲田だ」。冗談半分だったのだろうが、早稲田大出身の竹下首相がもらしたと、毎日新聞の社史『「毎日」の3世紀』には記されている。記者にすれば笑えぬ話である◆24年ぶりの皇室会議で、天皇陛下が再来年の4月30日に退位し、皇太子さまが翌5月1日に新天皇として即位され、改元となることが事実上、決まった。退位の儀式が、約200年ぶりに行われる。次の焦点は新元号へ◆報道によれば、すでに学者が複数の元号候補を政府に提出済みだという。昭和からの改元の時のように、報道各社の懸命の取材攻勢が繰り広げられるだろう。世界で元号制度が残るのは日本だけとされる。それだけに国民の関心は高い。平成とのお別れのカウントダウンが始まった。(章)

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