2018年産主食用米から、国による生産調整(減反)が廃止される。コメの価格安定のために半世紀近く続いた政策の見直しで、農家の経営の自由度を高める狙いがある。

 しかし、国に代わって、JAが主導し、実質的な生産調整を行う全国組織が年内にも発足する。佐賀も従来通り、生産者ごとに生産数量目標に代わる「目安」を設けて示す方針。農家の自立を妨げてきたといわれる減反は、形を変えて、ほとんど温存される可能性が高い。

 減反は、コメを作り過ぎて価格が下がらないよう、国が主導して全体の生産量を抑える政策。1人当たりの消費量が減り、コメが余る事態が深刻化したために、1971年に本格導入された。毎年、国が生産数量目標を決めて都道府県、市町村を通じて農家に配分してきた。

 減反に協力した農家には、10アール当たり7500円の補助金が支払われている。来年以降、この補助金の交付はなくなる。

 全国農業協同組合中央会(JA全中)が中心になってコメの需給を話し合う全国組織をつくり、国も支援する方向だ。

 佐賀では、JAや県、民間の集出荷業者などでつくる県農業再生協議会が、国からの需給情報を参考に、コメ生産の「目安」を作成し、農家へ示す。こうした目安は東京と大阪を除く45道府県が設ける。作り過ぎや米価下落を避ける狙いがある。

 生産量を減らした農家に補助金を配る今のやり方は、コメ農家の自由な発想で価格競争力を高めたりする農業改革に逆行するとの声がある。コメ政策は矛盾もはらみながら、引き続き「需給と価格の安定」を重視することになる。

 減反についていえば、もともと佐賀は「優等生」といわれ、生産数量目標を忠実に守ってきた。一方、消費者と直接つながる農家の多い首都圏近辺の県は、守らないところもあった。作れば作るほど、もうかるためだ。

 来年からは、目安を守っても補助金をもらえず、守らないことへの罰則もない。コストを抑えて生産できる大規模農家は、独自の判断で生産量を決め、販売拡大に乗り出すことも考えられる。コメの価格安定を望むJAなどの狙い通りにいくのか、懸念がある。仮に佐賀が守っても、他県が目安に従うのかも分からない。

 減反廃止に伴う「激変」は、どこへ向かうのか。

 佐賀の平たん地は、麦と大豆があるので、ある程度の所得は確保できそうだ。麦と大豆には、収穫高に応じて国の補助金が支払われるので、収量が上がれば上がるほど収入が増える。

 問題は、農地の条件上、麦や大豆が作れない中山間地だろう。佐賀県では水田面積の約3割を占める。コメ単作地帯で、米価が下がれば大きな打撃になる。ただでさえ高齢化が進み、手間がかかり効率の悪い農地が多いから、耕作放棄に拍車がかかる可能性もある。減反補助金に代わる、何らかの激変緩和措置は必要だ。

 農業は一つの産業だが、単純に市場原理だけで動かないところがある。産業政策だけでなく、地域政策も求められる。中山間地の部分などは、特にそうであることを強調しておきたい。 (横尾章)

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