山田全自動さんの作品

展示されている忍者イラスト

カフェで制作にいそしむ山田全自動さん=福岡市中央区のスターバックス天神西通り

 嬉野市の肥前夢街道に10月、鹿島市出身の浮世絵イラストレーター山田全自動さん(34)=福岡県在住=の作品が並ぶ「山田全自動館」がオープンした。山田さんによる浮世絵風のイラストやイラストをあしらったびょうぶなどの立体作品が、定期的に入れ替えをしながら展示されている。

 忍者村の坂を上ると見えてくる重厚な建物の入り口に、町人の顔はめパネルが鎮座する。力の抜けた作品が立派なガラスケースに収められ、スポットライトを浴びる風景がシュールで思わず笑いがこみ上げる。画像投稿サイト「インスタグラム」で発表された作品のほか、同館のために描き下ろされた忍者ネタのイラスト12点も展示され、ステッカーやマグカップなどのグッズも購入できる。

 山田さんは昨年12月から、インスタグラムに1日1点のイラストを投稿している。そのフォロワー(閲覧)数は約17万人で、1秒100人の速度で爆発的に増えた時期もあったという。

 肩書はウェブデザイナー兼イラストレーターで、絵の練習のつもりで始めた投稿がヒットした。きっかけは、インターネットのポータルサイトで扱われSNSニュースのトップに取り上げられたことだ。

 イラストは、幕末の服装や髪型のまま現代を生きる町人らの一コマに、「あるある」と微笑や苦笑を誘う一言が添えられている。絵はタブレット端末で描いているため、「出先でもどこでも制作できて、画材にお金もかからない」と山田さんは話す。絵柄は「北斎漫画」などを参考にしている。筆で下書きした板を彫って刷り上げた浮世絵の風合いが出るよう、タッチや線の強弱に工夫を重ねているという。

 人気を受け、9月に出版された書籍「山田全自動でござる」はジュンク堂福岡店の週間ランキングで3位を記録した。10月には埼玉県で期間限定の「山田全自動カフェ」、就活情報サイトで「就活あるある」イラストの連載、香川県にある郷土菓子会社のテレビCMに起用されるなど、目覚ましい活躍が続いている。

 このような展開に、山田さんは「想像していなかった」と驚いている。ヒットの理由を「ゆるい作風が親しみやすかったのかも」とする一方、スマホの台頭も大きな要因と考えている。ちょっとした空き時間にスマホをのぞいて一瞬で完結するような手軽な楽しみを好む層に、「一枚絵で完結」という手法がマッチした結果と分析する。

 リトアニアで催されたジャパニメーションのイベントにイラストが展示され、海外デビューも果たした。肥前夢街道に外国人観光客が多いこともあり、山田さんは「言葉がわからなくても楽しめる、海外向けの作品も作っていきたい」と意欲を見せる。

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