国際社会にいつまで牙をむき続けるつもりなのか。北朝鮮が弾道ミサイルを再び日本海に向け発射した。日本の排他的経済水域(EEZ)内に着水したミサイルは約53分飛行、高度は4千キロをはるかに超え過去最高に達した。

 北朝鮮は、今回の弾道ミサイルが、米全土を射程にした超大型の重量級核弾頭を搭載できる新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」だと政府声明で明らかにした。技術的な疑問点は残るが、ICBM級の弾道ミサイルを開発、実験する段階に至った北朝鮮の軍事的脅威は、さらに高まってしまった。

 北朝鮮は米国との「力の均衡」を主張し、核とミサイルの開発を加速化させている。今回の発射も、核保有国として米国と渡り合おうとするシナリオの延長線上にある。しかし、こうした野望は幻想だ。圧力強化しかもたらさないという現実を直視すべきだ。

 国際社会は北朝鮮がICBM級の弾道ミサイルをほぼ手中にしたことを深刻に捉えるべきだろう。北朝鮮は前回9月15日の発射から今回の発射まで約2カ月半の間、沈黙を続けてきた。韓国や日本と断続的に大規模な合同軍事演習を展開した米国からの軍事的圧力が途切れ、迎撃されるリスクが低いタイミングを狙ったとみられる。

 また、ICBM完成に向け、これまでの発射実験で得られたデータを分析しながら、技術的な改良も続けてきただろう。この約2カ月半の空白期間を、国際社会は生かせなかった。関係国が圧力行使で足並みをそろえられなかったことが、北朝鮮に開発の時間的猶予を与えてしまった。

 国連安全保障理事会が採択した制裁の徹底した履行を通じ、このままでは未来はないという一致したメッセージを北朝鮮に繰り返し突き付けるべきだ。ここに、いささかも抜け道や猶予があってはならないのは当然だ。

 さらに、朝鮮半島での軍事的衝突という悲劇的な事態を回避するためにも、日米韓と中国、ロシアなど関係国間の緊密な意思疎通と政策調整が必要だ。緊張を緩和させる手だてを考えねばならない。

 制裁履行を巡り最大限の圧力を加えるべきだとする日米、圧力だけではなく対話も必要だとして日米に距離を置く中ロや韓国との温度差は依然、解消されていない。立場の相違を可能な限り最小化するための努力を続けるべきだろう。

 北朝鮮は関係国の足並みの乱れをにらみながら、核保有による勢力均衡という危険なゲームを仕掛けようとしている。米中2大国を翻弄(ほんろう)しながら、生き残りの空間を見いだそうとしているのだ。かつての冷戦時代、中ソ対立を利用しながら存在感を維持してきた歴史と重なる。

 現在も新冷戦の時代といわれる。だが、トランプ米大統領が掲げる「米国第一主義」という時代に逆行するような要素はあるものの、経済面を中心にした相互依存の度合いは冷戦時代の比ではなくなっている。北朝鮮への制裁圧力に国際社会が一致して取り組む必要性もここにある。

 北朝鮮が描く核保有による体制存続のシナリオは、相互依存の世界ではいずれ破綻することが避けられないのだ。手遅れになる前に、北朝鮮は非核化への道を選択すべきだ。(共同通信・磐村和哉)

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