森友、加計問題を巡り、衆院予算委員会で野党の本格的な追及が始まった。森友学園への国有地売却で、国がごみの撤去費用として8億円余り値引きをした根拠が不十分で、ずさんとする検査結果が会計検査院から国会に報告されたばかり。文部科学省から正式に認可されたとはいえ、加計学園の獣医学部新設に絡む疑惑もなおくすぶる。

 安倍晋三首相は世論の厳しい批判を踏まえ「謙虚に受け止め、真摯(しんし)な説明を丁寧に行うことで国民の理解を得ていきたい」と述べた。与党の質問時間が増え、自民党から検査結果と過去の政府答弁とのずれをただす質問も出た。ただ政府説明を一通り聞き、問題なしとする場面が目立った。

 政府、与党が疑惑解明を拒む姿勢は変わらない。安倍首相は、森友学園が開校を目指した小学校の名誉校長だった昭恵夫人による国会での説明を求められても「私が答えているということで、ご了承いただきたい」と答弁。国有地売却交渉に財務省理財局長として関わった佐川宣寿国税庁長官や加計学園の加計孝太郎理事長の国会招致にも否定的な考えを示した。

 国会が行政を監視するという本来の役割を果たせないでいる。政府はこのまま時間切れに持ち込みたいのかもしれないが、そんなことは許されない。行政から独立した第三者調査委員会による検証と解明を求めたい。

 自民党は、財務省近畿財務局の担当者と森友側が売買契約を結ぶ前の昨年5月に価格を協議していたことをうかがわせる音声記録を取り上げ、過去に「あらかじめ価格について申し上げることはない」とした佐川氏の説明は「虚偽答弁ではないか」とただした。これに対して財務省は「価格交渉をした認識はない」としながらも、初めて音声記録の内容を認めた。

 ところが質問した議員は「もっと早く言ってよという感じだ」とそれ以上追及しなかった。野党の質問時間を大幅に削った手前もあり、一応、追及を演出してみせたが、そもそも解明する気などないということだろう。

 「ゼロ円に極めて近い形で払い下げをしてほしい」と迫る森友側に財務局側が「ゼロに近い金額まで、できるだけ努力する作業をやっている」「1億3千万円を下回れない」と答えたというのが音声記録の内容だ。なぜ財務局側が森友側に過分ともいえる配慮を示したのかが問われている。

 財務省は予算委の質疑で、森友側と売却を前提にした定期借地契約を結んだことなど「特例」を重ねたことも認めている。だが政府はその背景に踏み込もうとしない。検査院から文書管理のずさんさを指摘され、加計問題でも、あるべき記録文書がないと批判されたことを受けて、首相は「国民の信頼を一層高いものにするように行政文書管理のガイドラインの改正を年内に行う」と強調した。国有財産の売却業務も見直すとしている。

 ただ疑惑の解明と今後の課題をすり替えてはなるまい。国民の疑念を解消するには森友、加計問題に関わる各分野の専門家らから成る調査委員会を発足させ、関係府省庁の担当者らの聴取と行政手続きの厳格な検証をする必要があるだろう。

 その上で、検査院によって明らかにされた不適切な文書管理などについて責任の所在をはっきりさせ、一定の処分を行うことも考えるべきだ。(共同通信・堤秀司)

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