開館10周年を記念して旧高取邸で演じられた蝋燭能『葵上』。欄間に彫られた動物たちも浮かび上がる(上)=唐津市北城内

 唐津市北城内の国重要文化財「旧高取邸」の能舞台で27日、開館10周年を記念して座敷能が開かれた。本格的な能の公演は開館以来。現存する明治期の邸宅で屋内に能舞台があるのは唯一とされ、「肥前の炭鉱王」が趣向を凝らした空間で幽玄の世界を堪能した。

 高取邸は杵島炭鉱などの炭鉱主で知られる高取伊好(これよし)(1850~1927年)の邸宅で、1905(明治38)年に建てられた。この日は通常見学できるしつらえとは異なり、老松が描かれた鏡板が奥に移動。広がった能舞台で昼夜それぞれ70人が鑑賞した。

 夜の部は今回が初めてで、蝋燭(ろうそく)に見立てたLEDのわずかな明かりがともるだけ。伊好も楽しんだであろう闇の舞台を再現し、人間国宝・大槻文藏さんの仕舞『山姥(やまんば)』や蝋燭能『葵上(あおいのうえ)』などが披露された。

 市内在住で初めて旧高取邸を訪ねた会社員の長尾佳樹さん(49)は「普段は味わえない幻想的な雰囲気を感じられた」と満喫していた。

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