御船山楽園で行われたデジタルアート展。大勢の見物客が訪れ、周辺旅館の宿泊にもつながった=武雄市

 10月の佐賀県内経済は、秋の行楽シーズンを迎えて旅館やバス・タクシーなど一部業種で需要が伸びる一方、個人消費は力強さを欠き、大型店は来店客数、売上高が前年を下回るところが目立った。台風接近や選挙で外出や買い物を控える動きも見られた。

 御船山楽園(武雄市)のライトアップなどで国内外から個人客を取り込み、旅館の予約は前年を上回った。雨天が続いて乗り合いバスやタクシーを利用する客も増えた。

 ゴルフ場は予約のキャンセルが響き、来場者数が前年割れ。大型店も客数が伸び悩む店が多かったが、気温の低下で秋・冬物の婦人服や子供服、暖房器具は好調だった。

 家具は安価な量販店や通販に押され、チラシやカタログを請け負う印刷も歳暮需要の減少に悩まされた。不動産は全県的に中古住宅、マンションの購入が活発で、飲食店関連の賃貸も動いた。建設は住宅着工が減る一方、公共工事の請負額が2桁増と4期ぶりに前年を上回った。

 

 

■気温低下、衣料は復調

=商況=

 ◇…大 型 店…◇

 来店客数、売上高ともに前年割れ。例年11月に開いていた催事を来年1月に変更したこともあり、食品が落ち込んだ。佐賀市長選、衆院選の影響からか、投開票の日曜日はいずれも来店客が少なく、数字を伸ばせなかった。2着セールを行った紳士服や雑貨、宝飾品の販売は堅調だった。

 (小笠原浩幸・佐賀玉屋営業企画部長)

 来店客数はわずかに前年を割り込んだが、売上高は実績を上回った。気温の低下に伴い、苦戦していた婦人服や子供服が動き、販売単価が上昇したのが要因。ソフトバンクホークスの優勝セールも下支えし、寝具や暖房器具が2桁増となるなど顧客1人当たりの購入点数も伸びた。

 (金丸秀昭・イオン佐賀大和店店長)

 売上高はわずかに実績を下回った。野菜価格が高値で推移していた前年の反動もあるが、来店客数も微減と伸び悩んだ。価格はそのままで1袋当たりの数量を増やして販売するなど、割安感を打ち出した戦略で顧客をつなぎ止めている。

 (宮崎祐輔・スーパーモリナガ店舗運営部マネジャー)

 ◇…電 化 製 品…◇

 来店客数は前年を上回ったが、客単価が伸びず、売上高は前年並みにとどまった。色鮮やかな有機ELテレビが2桁増と好調。デジタルカメラやムービー、掃除ロボットもよく売れた。高額の大型家電は慎重に吟味する客も多いが、価格は高くても機能重視で選ぶ傾向が強まっている。

 (池上英治・エディオン佐賀本店店長)

 

=食料品=

 ◇…  茶  …◇

 全体的に販売は低調だった。各地で開かれた見本市でも販売業者の反応は鈍く、商社からも「動きは悪い」といった声が聞かれた。例年であれば、この時季に動き始める上級品や中級品が特に鈍く、期待が大きくはずれた。

 (橋爪英彦・県茶商工業協同組合理事長)

 

 ◇…製   麺…◇

 全体の売り上げは前年並みだった。節約志向の高まりが伝えられるが、気温が低下したことでうどんやラーメンがよく動き、数字を押し上げた。各社では来年のそうめん製造が始まり、年末商戦も本格化してきた。歳暮や年越しそばの需要に期待している。

 (古賀義治・県製粉製麺事業協同組合理事長)

 

■光の「御船山」宿泊者増

=レジャーサービス=

 ◇…旅   館…◇

 売上高は前年同月をわずかながら上回った。行楽シーズンを迎え、福岡市やその周辺を巡るツアーの団体客はある程度取り込めたようだ。一方、個人客は食事抜きの素泊まりが増えてきている。他県では民泊事業者が増えているとも聞く。安価で手軽な旅行ニーズをつかめるかが肝要になる。

 (松下隆義・唐津市旅館協同組合理事長)

 宿泊者数は前年同月を上回ったところが多かったようだ。台風21、22号の影響で雨も多かったが、「御船山楽園」のライトアップを目当てに訪れる個人客が増え、週末はほとんど満室状態だった。インターネット予約は前年に比べ5%伸び、海外からの旅行客も堅調。韓国や中国を中心にリピーター客も増えてきている。

 (池田榮一・嬉野温泉旅館組合理事長)

 

 ◇…ゴ ル フ …◇

 県内施設の来場者数は前年同月比2・0%の減。秋の需要期に入り、予約は順調だったが、台風21、22号の影響で雨も多く、キャンセルが相次いだことが影響した。8カ月ぶりのマイナスとなったが、12月の忘年会コンペの予約は好調。天候が安定すれば、マイナス分を取り返せるのではないかと期待している。

(毛利雄治・九州ゴルフ連盟支配人部会県代表幹事)

 

■国と市町発注2桁増 公共工事請負額

=建設=

 ◇…建   設…◇

 県内の公共工事の請負金額は前年同月比16・8%の増。4カ月ぶりに前年を上回った。国と市町発注工事の請負額は2桁増で、4月からの累計も前年並みの水準を維持している。県の工事は発注が遅れ気味で、これから本格化してくるとみられる。

 9月の住宅着工は3・3%減の505戸だった。

 (中島博文・県建設業協会専務理事)

 

 ◇…不 動 産…◇

 先月に続き、住宅購入の動きが活発だった。地区別で見ると、佐賀は1千万円台の中古住宅が人気。鳥栖・三神は一戸建てや中古マンションが安定して動いた。伊万里は市中心部の新築・中古物件に需要が集中し、唐津は中古マンションを探す若い世代が多い。杵藤は需要に一服感がみられる。

 賃貸も全体的に取引が多く、ペットが飼える物件や飲食店などの店舗に引き合いが強い。需要の高まりを受けて家賃も上昇傾向だ。

(山口英則・県宅地建物取引業協会地域振興委員長)

 

=窯業土石=

 ◇…陶 磁 器…◇

 売上高は前年比3・11%減。2カ月連続の前年超えはならなかったが、年初来続いた不調から、やや好転の兆しが見えてきたようだ。一部であった在庫整理の売り上げ増が下支えし、注文と生産がかみ合ったことが数字を押し上げた。ただ需要の取りこぼしもあり、年末商戦に向けた販路のてこ入れが必要となる。

 (百武龍太郎・県陶磁器工業協同組合専務理事)

 前年比9・67%減。自らの方向性やスタイルをつかみ、消費市場の変化を見極めてピンポイントで対応できる企業が売り上げを伸ばしている。秋の需要期を迎えたが、納期の問題で生産力があるところに注文が集中しているようだ。迎春向け食器の動きも出始めており、今後の動向に期待する。

 (藤雅友・肥前陶磁器商工協同組合専務理事)

 前年比12・35%減と落ち込んだが、前年は大きな特注があったためで、2年前と比べると2桁の伸びを確保した。昨年の有田焼創業400年のPR効果もあり、経済環境が厳しい中で業務用食器は健闘を続けてきたが、店頭での売り上げが落ち込んでいるのが気掛かり。団地への来場を増やす取り組みが重要となる。

 (原口秀夫・有田焼卸団地協同組合専務理事)

 ◇…陶   土…◇

 前月に続いて有田、波佐見両地区ともに動きが鈍く、前年比2・3%減だった。メーカーからの注文が少なく、焼き物の全体的な落ち込みがあるようで厳しさを実感している。年末に向けた需要増に期待する。前月比は2・1%増だったが、秋の需要期を迎え、本来はもっと多くの動きがある時期だった。

 (一ノ瀬秀治・肥前陶土協同組合主事)

 

=石油=

 ◇…石   油…◇

 県内のレギュラーガソリン1リットル当たりの平均小売価格は137円10銭。原油高を受けて大手石油元売り各社が卸価格を引き上げたことが影響し、5週連続で値上がりした。11月上旬には140円を突破し、軽油や灯油の価格も上昇している。暮らしや企業活動に影響が広がりそうだ。

 9月のガソリン販売量は前年同月比7・7%の増、軽油は9・9%増だった。ガソリンは1年7カ月連続で前年を上回っている。

 (光武繁・県石油商業組合専務理事)

 

=運輸=

 ◇…バス・タクシー…◇ 乗り合いバスの運送収入は前年同月比0・9%の減。雨の日が多く、通学・通勤などでの利用が増えたため、輸送人員は0・5%増だった。高速バスは天神線が伸びず、運送収入は3・0%の減。貸し切りバスは県外からの団体ツアーの減少などで5・0%減だった。タクシーは全域で稼働が伸び、運送収入は3・0%増だった。

 (江上康男・県バス・タクシー協会専務理事)

 

=木製品=

 ◇…家   具…◇

 前年同月に比べて売上高が減少した組合員は8割に上り、厳しい状況が続いている。佐賀市内に今夏オープンした大型店「ナフコ」など、より安価な製品に客が流れているようだ。インターネット通販で家具を購入する人も増えており、販売戦略の練り直しも必要になっている。

 (樺島雄大・諸富家具振興協同組合理事長)

 ◇…建   具…◇

 組合の資材共同購入額は前年同月比2・7%の減。2桁増だった8、9月から一転、3カ月ぶりに前年を下回った。集中していた工事が一段落したのが要因だろう。4月からの累計では昨年度の実績を上回っている。組合員が請け負う工事量は前年並みで、公共施設など大型物件が増えたことが数字を押し上げている。

 (石井敏明・県木工業協同組合理事長)

 

=機械・電機=

 ◇…機械・電機…◇

 下半期が始まる月で、会員事業者の仕事量は全体的に多かった。取引先の中間決算期だった前月と同じくらい忙しかったようで、特に海外向け製品の生産が好調な自動車や半導体関連は工場の稼働率が高かった。官公庁からも安定して受注が見込めている。

 (中村敏郎・県工業連合会会長)

 

=紙・印刷=

 ◇…印   刷…◇

 歳暮のギフトカタログ、チラシとも受注は振るわず、全体の売り上げは前年にわずかに届かなかった。景気は回復基調だが、小売店は厳しい状況が続いているようだ。原料となる紙の値上げも懸念される。これから本格化するクリスマス商戦の受注に期待したい。

 (平川直樹・県印刷工業組合理事長)

 

=ICT=

 ◇…I C T…◇

 企業の設備投資意欲の高まりを受け、全体の売上高は前年同月を上回った。データをクラウドに蓄積するシステム導入などが活発で、受注を伸ばす会員事業者が多かった。業務効率化や生産性向上に対する企業の関心は高い。それぞれのニーズに合ったサービスを提案していきたい。

 (森木武・県ソフトウェア協同組合理事)

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