日本赤十字社創立140周年を記念して復刻された佐野常民の伝記(左)。右は昭和に刊行された伝記

復刻された佐野常民の伝記を受け取った野中源一郎さん(右)。左は日本赤十字社県支部の船津定見事務局長=佐賀市の日本赤十字社県支部

 日本赤十字社は、創設者で佐賀の七賢人に数えられる佐野常民の伝記を復刻した。約90年前に刊行された伝記を現代の言葉遣いに書き換えるなどして読みやすくした。同社は「県民に郷土の偉人について関心を高めてもらえれば」と期待する。

 パリやウィーンでの万国博覧会に派遣され、欧州での赤十字の活動を知った佐野。伝記では、1877(明治10)年の西南の役で、敵味方の区別なく負傷者救護に動いた「博愛社」設立から、看護婦の養成、自然災害、日清戦争での活動が記されている。産業振興など佐野の幅広い業績や逸話も盛り込まれ、激動の生涯を知ることができる。A5版で本文68ページ。

 原書となったのは、1928年(昭和3)年発刊の「佐野常民伝」。当時、製薬業を手掛ける野中鳥犀圓第11代当主・野中萬太郎氏が出版していた。今回、日本赤十字社の創立140周年記念事業として、佐賀県支部にわずかに保管されていた原書を改め、1万部作製。佐野常民記念館(佐賀市)からの提供も受けて写真11枚を加え、巻末には年表が収録された。

 27日に、野中鳥犀圓第13代当主の野中源一郎さん(72)‖佐賀市‖に新しい伝記の贈呈式が佐賀市内であった。野中さんは「立派な本ができて感謝している」と話し、日本赤十字社県支部の船津定見事務局長は「人をいたわる博愛の精神が国内に根付く必要があると訴えた佐野。たくさんの人に読んでもらってその思いを感じてほしい」と語った。

 県支部で保有するのは100冊程度だが、希望者には無料贈呈する。問い合わせは日本赤十字社佐賀県支部、電話0952(25)3108。

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