〈十三日 富札(とみふだ)の出る はづかしさ〉。富札、今の宝くじを折り込み、江戸期に作られた川柳である。この頃のすす払いは、暮れの13日と決まっていた。大掃除中に富札が出てきて人の目に触れ、恥ずかしい思いをしたというのである◆堂々と宝くじを買える現代だが、当時は「地道が一番」だったのだろう。一獲千金を夢見るのは、どうも具合が悪かったらしい。日本で初めて富くじ(宝くじ)を売ったのは、今の大阪府箕面(みのお)市にある瀧安寺(りゅうあんじ)とされる。時期は諸説あるが、江戸初期の寛永元(1624)年頃のこと◆一夜大尽(いちやだいじん)が目的ではなく、身を守る幸運の願掛けのお札だったようだ。しかし全国に広まるにつれ、賭博性を高め人気を集めていく。曲折を経て、現在の形になったのは戦後まもなく。昭和20年10月に発売された第1回宝くじである◆今年も年末ジャンボが売り出された。1等と前後賞を合わせた賞金額は10億円。昨年度は、佐賀県内の売り場から100万円以上の当選が相次ぎ、販売枚数に対する高額当選の割合で全国1位に。偶然の風が吹いたのだろうが◆〈富を取ったら先(まず)家をこう建て〉。古川柳にあるように、庶民の夢は膨らむ。「そこは10億といわず、ほどほどでも…」。身を持ち崩したら大変だと予防線を張りつつも、である。さて、皆さんの運試しの行方は―。(章)

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