11月に入り今年も過活動ぼうこうを啓発するコマーシャルが流れ始めました。当院は泌尿器科ということもあり、1年を通して比較的コンスタントに過活動ぼうこうの患者さんが受診されます。

 寒くなり症状が強くなって薬の調整を希望される方も多いです。尿意切迫感や頻尿は冬に悪化するという研究結果がありますが、北海道の方よりも九州の方のほうがより悪化しやすいのだそうです。理由ははっきりとは分かっていませんが、寒さへの備えや慣れの違いなのかもしれませんね。

 さて、これだけ過活動ぼうこうの情報があふれていると、患者さんもおおむね自分は過活動ぼうこうではないだろうかと考えて泌尿器科を受診されるのですが、違う病気の場合もあります。

 過活動ぼうこうの患者さんは「尿意切迫感」の症状があることで診断をします。これは『強い尿意が急激に起こり、がまんすることが困難な状態』で、この「急激に起こる」というところがポイントです。「がまんにがまんを重ねて起きる尿意」や「普通におしっこがたまると起きる尿意」というのとは違うのです。「昔のようにがまんが効きにくくなってトイレが近くなった」というのもよくある症状ですが、過活動ぼうこうとイコールではありません。

 トイレが近い、がまんができないといった症状のある患者さんの中には、トイレに行った後、ぼうこうに多量の尿が残っていたり、がまんしたときの排尿量が一般的に考えられる量の2、3倍になっていたりする方がおられます。

 これらは過活動ぼうこうとは異なる異常で、このような異常がある場合に過活動ぼうこうの薬を飲むとさらに症状が悪化するだけでなく、他の内臓にも負担をかけることになります。このような異常は病院で検査をして初めて見つかることが多いのです。気になるときは一度専門医を受診してみましょう。(なかおたかこクリニック院長 中尾孝子)

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