「琵琶は物語を奏でる。心で聴いて頂ければ」と語る人間国宝の奥村旭翠さん=鹿島市

 琵琶奏者では10年ぶりに人間国宝に認定された奥村旭翠さんの独演会が23日、鹿島市七浦の中村与右衛門屋敷で開かれた。観客約150人が格式ある屋敷を包む筑前琵琶の響きに聞き入り、奥村さんがつむぐ物語を堪能した。

 「目をつむり、心で聴いていただければ」と笑みを浮かべる奥村さん。演奏に入ると表情を引き締め、「諸行無常の響あり」で有名な平家物語の「壇ノ浦」や「敦盛」を披露した。余韻を残す筑前琵琶の優しい音色に力強く歌を乗せ、戦の激しさや悲しみが表現された。アンコールは「黒田節」を会場全体で歌い、演奏会は大盛況のうちに終了した。

 参加した太良町の女性(75)は「情景が浮かんでくる演奏で感動した」。七浦地区振興会の増田好人さんが「旧・七浦村の発展に尽くした村長の屋敷で遺徳をしのぶこともできた」と感謝した。演奏会は七浦を測量し、屋敷に宿泊したとされる伊能忠敬没200年記念行事の一環で企画された。

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