デジタルデータとして保存した古地図を紹介する天賀光広社長=佐賀市のとっぺん

 佐賀市のデジタルコンテンツ制作会社「とっぺん」(天賀光広社長)が、情報通信技術(ICT)を使った文化財の保存・活用事業を拡大している。デジタルデータ化を進める自治体からの依頼が増えているためで、独自技術で古墳や古地図などのデータベースを構築。吉野ケ里遺跡(神埼市郡)の発掘調査の報告書作成に採用されたほか、三重津海軍所跡(佐賀市)の映像を手掛けるなど活躍の場を広げている。

 とっぺんは2006年に創業。デジタル技術による文化財の記録保存、展示コンテンツの企画制作を手掛ける。九州国立博物館(福岡県太宰府市)が企画した装飾古墳のデジタルアーカイブ事業では、国内の装飾古墳22基を07年から4年かけて計測・撮影。3次元映像で彩色壁画や線刻、外形などを見ることができるデータベースを作成した。

 このうち福島県双葉町の国史跡「清戸迫(きよどさく)横穴」は現在、東京電力福島第1原発事故で立ち入りが規制されているため資料的価値が高まっているという。

 文化財をデジタルデータに変換する技術は紛失や損傷、劣化を防ぎ、情報発信手段も大きく広がる利点がある。このため佐賀県もデジタル保存に力を入れており、07年に県立図書館が所蔵する江戸時代の古地図約800枚のデータ化にとっぺんの技術を採用したのを皮切りに、武雄市や長崎県島原市など約30の自治体が導入している。

 研究分野にも最新技術の普及が進んでいる。同社は県内を中心に九州の発掘現場約120カ所の遺構、遺物をデジタル技術で精密に計測。吉野ケ里遺跡や三重津海軍所跡の調査報告書に活用され、作業の負担軽減にもつながっている。

 三重津海軍所跡のパノラマ映像や3次元動画、名護屋城博物館の館内アプリも手掛けており、天賀社長は「近年は魅せられるデジタルコンテンツに力を入れている。文化財や歴史を子供たちが楽しく学べる教材も開発できないか検討している」と話す。

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