田舎町のウエートレスと、出所したてのならず者が出会って意気投合、街から街へ、2人は次々と凶悪事件を起こしていく―。1930年代前半の実話である。米国のボニーとクライドのカップルが、銀行強盗や殺人を繰り返し、米国の犯罪史に名が残る◆何度か映画化され、「俺たちに明日はない」(1967年)が最も有名だ。アメリカン・ニューシネマの先駆けとされる作品で、ウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイが2人を演じた。悪女役の彼女の名演技は、この映画を特別なものにしている◆このころの米国は禁酒法があり、世界的な恐慌が社会格差を広げた時代。ならず者を生む土壌があった。時が下って現代。こちらの「困り者」の北朝鮮を米トランプ政権が非難し、テロ支援国家に再び指定した。9年ぶりのことだ。米国の狙いは経済的な封じ込めよりも、「ともに圧力を」というメッセージを国際社会に発することにあるのだろう◆くだんの映画の2人は退治され、映画史に残る衝撃のラストを迎える。どの時代、どの国にもいるならず者だが、現実は筋書きがないだけに手ごわく、ましてや国家規模になると、暴走を止めるのは容易なことではない◆退路を断ち、かの国を力で成敗するとの物騒な話がくすぶる。隣に地雷が埋まっているようで、どうも落ち着かない。(章)

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