核ごみ意見交換会 動員問題の構図

 原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場を巡り、候補地選びの手続きなどを説明する意見交換会に謝礼を持ち掛けて学生を動員した問題は、21日で公表から1週間。責任を回避しようとした経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)が、意見交換会の運営見直しを迫られる事態に発展した。【共同】

 ▽日当1万円

 「参加すれば1万円もらえると聞いた。動員はおかしい」。6日にさいたま市で開かれた意見交換会。友人の誘いを不審に思い参加した男子大学生の発言をきっかけに、1人当たり1万円の日当を約束されていたことが発覚した。さいたま会場には86人が参加していたが、このうち学生12人の全てが動員だった。

 動員したのは2次委託先のマーケティング企画会社「オーシャナイズ」(東京)。機構によると、10月に就任した役員が独断で、就業体験中の大学生に参加者集めを指示。「1万円」は友人を介し口コミで広がり、12人の中には高校生もいた。

 10月17日から11月2日にかけて開かれた愛知や兵庫など4都府県では計27人を動員。埼玉とは異なり、サークルの活動場所の貸与や印刷費の提供といった形で1人5千円相当の謝礼をすると約束していた。栃木や静岡など5県でも動員を呼び掛けたが、参加者はいなかった。

 ▽被害者

 「委託先への管理が不十分だった」「再三、禁止した」。機構の幹部は問題が発覚してから、業務の委託先企業に謝礼による動員をしないよう指示していると強調し、自身が被害者と受け取れるような釈明に終始。動員学生を自ら調査せず、事態を収束しようとした。

 経産省も当初、「運営は役割分担でやっていた」と自身の責任を否定。だがオーシャナイズが現金を支払い、昨年夏の機構のセミナーに学生を参加させていた疑いが16日浮上し態度が急変する。

 世耕弘成経産相は17日、事実確認が不十分だとして機構に徹底調査を指示。機構は20日夜、学生への聞き取りなど再調査を発表した。原発を巡っては過去にも住民説明会に電力会社が社員を組織的に参加させるなどの問題が繰り返されており、国民の不信を招くことを警戒したとみられる。

 ▽責任

 舞台となった意見交換会は、最終処分場の候補地となり得る地域を示した日本地図「科学的特性マップ」を7月に公表したのをきっかけに開かれた。地図は候補地となり得る「適地」が国土の7割弱に広がることを示し、国民の関心を盛り上げる仕掛けになると期待していた。しかし、謝礼動員の問題は、原子力政策の不透明さをあらためて印象づけた。

 東京電機大の寿楽浩太(じゅらく・こうた)准教授は「主催者の責任を果たそうとする姿勢が見えない。なぜ起きたのか、きちんと調査し、今後どうするのかを社会に示さなければ国民の疑念は拭い去られない」と指摘している。

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