地元資本の書店が、佐賀県内で急速に姿を消している。佐賀県書店商業組合(堤洋理事長)に加入している書店は2000年には101店あったが、現在は44店に減少した。3月には基山町で唯一の書店が廃業するなどここ3年間で3店が店をたたんだ。同組合の調べでは、書店が地域に1店もない「書店ゼロ自治体」が、多久市をはじめ、基山や吉野ヶ里、大町、白石、太良、玄海町の1市6町になったという。

 出版取次大手トーハン調べ(17年7月31日現在)によると、書店ゼロの市町村数が多い自治体は、北海道(58) 長野(41)、福島(28)の順になっており、山間部を抱える地域が多い。

 書店を取り巻く県内の状況を見てみると、佐賀市などでは郊外に大型ショッピングセンターが進出して紀伊國屋など大型書店が参入した。その一方で中心市街地商店街の空洞化に伴い、地場の老舗書店が次々と姿を消している。

 街の書店が減少した理由としては、本離れによる読書人口の減少が主因だが、書籍を扱うコンビニエンス店や中古書籍店の増加、公共図書館のサービス向上も挙げられる。インターネット通販大手「アマゾン・コム」といったネット書店の存在や電子書籍の市場が拡大した影響も大きい。

 早くて安く、品ぞろえ豊富なネット書店に消費者が流れるのは、時代の趨勢(すうせい)と言えるのかもしれないが、14年にはフランスで、ネット書店が値引きした書籍を無料配送することを禁じる法律(通称・反アマゾン法)が施行された。根底には「文化への接点として不可欠な個人書店を守る」という保護主義的な思想がある。

 佐賀県書店商業組合は、公共図書館における図書貸出数の増加も書店離れの原因に挙げ、「09年以降は図書貸出数が、書籍販売数を超えたと言われている。図書館にしろ“ネット書店”にしろ『本は買うものではなく無料で読むもの』とさえ言われるようになった」と危惧している。

 公立図書館の図書購入に際しては、入札条件が厳しいので地元書店が参入できず、東京資本の大手が納入するケースも多い。

 また公立学校の図書については文科省が本年度から学校図書館図書整備等5か年計画で総額2350億円もの巨額予算を組んでいる。使途を特定しない一般財源として地方交付税に措置されているので、佐賀県や市町が予算化すれば図書や新聞を購入できる。一方、16年度の県内調査では、蔵書冊数で学校図書館図書水準に達した小学校は全体の92%、中学校は72%にとどまった。市町の予算化をさらに進め、地元書店が図書を納入できるような措置を望みたい。

 もちろん、行政頼みではなく、書店の自助努力が欠かせない。店主の顔が見えるような個性的な選書や、買い物客の目を引くよう工夫を凝らした店内広告の充実、カフェなどを併設した空間の創出など文化発信の拠点施設としての店作りも必要だ。ネット検索ではたどり着けない“知的な偶然の出合い”が街の書店には確かにある。ネットで簡単に書籍を入手できるようになった時代だからこそ、書店ごとの個性や、対人ならではの細やかな情報提供、書籍を通した交流が求められる。(藤生雄一郎)

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