『鏡の国のアリス』(ルイス・キャロル著)で、白の女王がアリスにジャムをあげると言う。ただし、「夢に描く明日のジャムか、昨日食べた、うまいジャムしかあげられない」。つまり“永遠にもらえないジャム”というわけだ。抗議しても、「最初は、だれでも、ちと目が回るがのう」とすましたもの◆こちらも「永遠にもらえないかも」という不信が根強い。国民年金の保険料を納めた人は、2016年度で65・0%だった。じわりと上向いてきたとはいえ、いまだに3分の1が未納である。しかも、所得が低いなどの理由で全額免除・猶予されている人を除くと、実に6割がそっぽを向いている◆納めない理由は「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」が多いが、「年金制度が信用できない」も目立つ。将来的に支給年齢が引き上げられ、いつまでたってももらえないかも…。あるいは、現役世代が支える「賦課方式」は少子化で破綻するかも、という不安である◆アリスの世界をモチーフにした『アリスの国の不思議なお料理』(ジョン・フィッシャー著)には、永遠にもらえないジャムのレシピも載っている。材料はプラムと砂糖、塩、水だけとシンプルなのに「何もかも、やたらとこんがらかっちゃって!」◆絡み合った不安と不信をほぐすには、何より分かりやすくなくちゃ。(史)

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